ぼんやりと考えている人

ひろしまなおき (廣島直己)
名前: ひろしまなおき (廣島直己)
住処: シリコンバレー
職業: しがないプログラマ
家族: 愛妻一人、息子一人、娘一人
道具: ハーレー二台、ギター三本
電紙: n at h7a.org

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以前にぼんやりと考えたこと

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03 September '2006 - 20:34 | 単車と旅 Sturgis 2006 (その2)

旅の二日目、八月六日。日曜日。

八時過ぎ、荷物を積み込み、Eureka を出発。とりあえず Ely を目指す。

九時過ぎ、Ely に到着。昨晩は、最悪二時間弱くらいかかるかと思ったけれど、一時間で到着。誰も走っていない道を二人だけで爆走しているので、早い。それに、昨日と比べ て、速い速度にもだいぶ慣れた。最初は 80MPH (128km/h) くらいで走るのも十分怖かったが、もう 90MPH (144km/h) で巡航してもまったく怖くない。

まずはガソリンを入れ、コンビニで朝食をとる。ホットドッグ、サンドイッチ、コーヒーという定番のジャンクフードをほおばりながら、地図を開き、今日の予定を相談する。

今日はネバダ州を抜け、グランドキャニオン国立公園あたりまで行く予定だ。

寄ろうと思えば途中にはいくらでも寄りたいところがある。たとえば、ブライスキャニオン国立公園やザイオン国立公園などがある。だが、ユタ州ではそんなことを言っているときりがない。潔く、グランドキャニオンまでわき目もふらずに直行する。

もし時間に余裕があったら、ちょっとだけ寄り道をして Cedar Breaks 国定公園に寄ろう。三年前に、ブライスキャニオンに行く途中で寄ってみたことがあったのだけれど、思いのほか良かった思い出があった。

Ely から三十分ほど US-50 を西に走り、Majors Place から US-93 を南下。

US-93: まっすぐな道 in Nevada

十一時半、Panaca にてガソリンと早めの昼飯。さっき Ely で食べたものとあまり変わらないジャンクフードでカロリーの補給。こういう田舎道では、食べられるときに食べておかないと、次のスタンドまで二時間かかることもある。

さて、Panaca からは NV-25 を西に、ユタ州へと走る。

十二時半、ユタ州との州境に到着。

NV-25/UT-56: WELCOME TO Utah!

ここから先は Mountain Timezone になり、一時間、時計の針が進む。時計の時間が変わっても、体の時計は簡単には変わったりしないし、混乱するだけなので、とくにバイクの時計の針は合わせない。携帯に表示される時刻は自動的に現地時間が表示されるので、必要ならばいつでも確認はできる。

それはそうと、バイク乗りにとってはタイムゾーンの変更よりも重要な違いがここからある。そう、ユタ州はヘルメットの着用義務がないのだ。ヤッピー!

そもそもネバダ州のようなほとんど砂漠の州で、何ゆえヘルメットの着用義務があるのかはよく分からないが、とにかく、ここユタ州から先は、当分の間、ヘルメットの必要がない。

ずっとヘルメットをしながら走っていて、いきなりヘルメットなしで走り始めると、ちょっと怖い感じがするのだけれど、それもすぐに慣れる。いったん慣れてしまうと、頭の軽いことの快適さは、本当にたまらない。なしで乗るとよく分かるのだけれど、ヘルメットはほんとうに重いのだ。気がついてないだけで、ヘルメットのせいでかなり首が疲れているのだ。

二時半、Cedar City で休憩。地図を見ながら相談。どうやら時間はありそうだから、Cedar Breaks National Monument に寄り道しながら行くことにする。

三時半、Cedar Breaks National Monument に到着。ここは、いつか Bryce Canyon みたいになると思うけれど、まだなってなかった。

というか、そんなことより、とにかく寒い。GPS を見たら標高 10500フィート (3200メートル) と表示されている。それほど登ってきたつもりもなかったけれど、Cedar City では 6000フィート (1800メートル) くらいだったのだから、かなり登ってきたことになる。寒いはずだ。

山を下り、US-89 を南下する。

五時、Orderville にてガソリンの補給。ここで嬉しいできごとが起った。それは、C のクレジットカードでガソリンが入れられたことだった。

実は、このスタンドに来るまで C のクレジットカードはことごとく利用が拒否されてきたのだった。

うちの近所のスタンドでは郵便番号の入力を要求されて、日本から持ってきたクレジットカードが使えないという面倒な問題があるのだけれど、実は要因はそれだけではなく、カードのスワイプする方向が日本のそれとは反対でカードをちゃんと読み取ってくれない機種もあるのだ。

三年前は、うちの近所を除けばほとんどどこでもクレジットカードでガソリンを入れることができたのに、今年の旅ではネバダ州に入っても C のクレジットカードが使えずに、かなり面倒な思いをしてきたのだった。

わざわざ、海外で使えるという触れ込みのインターナショナルクレジットカードとか銘打たれたものを持ってきたというのに。

それが、この Orderville のスタンドでは、初めてちゃんと使うことができたわけだ。これで、この先ずっとクレジットカードが使えないというわけではないということが分かったのは朗報だった。

店に入らずにガスの補給が済むなら、必要がなければ 10分くらいの休憩でスタンドを後にできる。カードが使えなければ、必ず店に行く必要があるし、先払いのスタンドなら、ガスを入れるだけで店をニ往復しないといけない。かなり面倒だし、時間もかかる。

それに、田舎では無人のスタンドもちょくちょくあるから、そういう場合、カードが使えないと入れられない。まあ、その場合はおれのカードで入れればいいだけなのだけれど。

ちなみに、クレジットカードが使えないのはスタンドのポンプだけであって、コンビニでもレストランでも、対人で使うところでカードが使えないところはどこにもなかった。

なにはともあれ、さらに US-89 を南下。

五時半、Kanab のスタンドで作戦会議。

地図で確認すると、ここから先には Fredonia か Jacob Lake の二つしか町がない。しかし、どういう町だかよく分からない。

二人とも Kanab に来るのもグランドキャニオンに来るのも初めてじゃないけれど、North Rim に行くのは二人とも初めて。Kanab から先がどういう感じなのか、まったく知らない。

今夜は野営の予定だから、どこかで食料を買えると思ってたらどこにもなかった、という事態は許されない。まだ先にも店はあるかも知れないけれど、とにかく食料を買っておくことにする。ビール、氷、ソーセージ、ビーフジャーキ、その他もろもろ。

六時過ぎ、アリゾナ州との州境に到着。ここで時計が一時間もどる。

知らない人は、アメリカの全ての州で夏時間の適用があると思ってるかも知れないけれど、じつは夏時間がない州、地域もいくつかある。そのひとつがアリゾナ州。アリゾナ州には夏時間の適用がない。(あと、ハワイとインディアナの東部には夏時間の適用がない)

そういうわけで、アリゾナ州に入った瞬間から、タイムゾーンは変わらないのだけれど夏時間がなくなって、時計は一時間もどることになる。結果的にカリフォルニアの夏時間と同じ。つまり、時計は五時過ぎに戻った。まあ、時間なんて気にしても仕方ないし、別に気にもしてないし、あるがままを受け入れるだけ。

そして、六時ちょっと前にグランドキャニオンの手前の最後の町、Jacob Lake に到着。そこには、予想に反して大きなスーパーとモーテルがあった。ふむ。まあ、結果的には、ここで食料を調達するのが最善手ではあったということになる。損したわけでもないし、いいのだけれど、次はここで買うことにしよう。

10分ほど休憩したら、AZ-67 を南下して、グランドキャニオンへと急ぐ。時間も遅いといえば遅いし、観光は明日にして、まずは寝床の確保だ。

六時半、グランドキャニオンのエントランスに到着。

AZ-67: Grand Canyon National Park

パンフレットをもらい、キャンプ場のことを訊いて見る。「キャンプ場、空いてるか知ってますか?」「うーん、残念ながら North Rim のキャンプ場は、もう空きがないですよ」

むむぅ。こんなところでもちゃんとキャンプする人がいるどころか、たくさんいるのか。世界中から観光客がくる South Rim と違って、わざわざ行かないと行けない North Rim だから、それほど人もいないんだろうし、ましてやキャンプ場なら空きがあるだろうと高をくくっていたのだけれど、甘かった。それにしても、けっこうな広さのキャンプ場が当たり前のように埋まっているというのは凄い。アメリカ人は本当にキャンプが好きだと感心する。

ここまで来る途中の DeMotte というところでロッジとキャンプ場があったように見えたけれど、まずはそこまで戻るか。

とりあえずどうしたらいいと思うか、レンジャーに訊いてみる。「そこまで戻らなくても、4マイル戻ると 22 って道があるから、そこを右折して奥に入っていけば、道の脇で適当にオフロードキャンプできるよ。この通りから見える草原でのキャンプはダメだけれど、それ以外なら好きなところでテントを張っていいよ」

ふーむ。いきなりオフロードキャンプか。Y の嫁さんがいなくて良かったけれど、それにしても、うーむ。

ここで悩んでいても仕方ないので、とりあえず戻ってみて、その 22 という道を見てみよう。戻ってみると、その道はダート、砂利道だった。むむ。ちょっと引く。もう少し戻れば DeMotte にキャンプ場があるから、やっぱりそっちに行ってみよう。

さくっと DeMotte まで戻って、ロッジのレジストレーションにてキャンプサイトに空きがあるかを確認。「となりのキャンプサイトは、じつは今、全面改装中で使えないんです。ロッジには空きがありますけど、どうしますか?」

うーむ。ちなみに値段を聞いてみたらツインで 128ドルと言われた。考えるまでもなく退散。

結局、レンジャーが勧めてくれたオフロードキャンプしかないということか。さらに Jacob Lake まで戻ってもキャンプ場らしきものはなかったし、戻りながらキャンプ場を探していたら、二時間くらい戻らないといけなくなる感じだ。

仕方がない。面倒くさいけれどダートを行くしかない。意を決して 22 に入っていくことにする。

奥に入っていってみると、そこは、ちゃんとしたキャンプ場というわけではないのだけれど、一応、キャンピングカーで来る人たちが車を止めることができるような作りになっていた。ほほう。実は、それほど悪くないかも。

まあ、他に選択肢があるわけでもないし、適当に見つけた場所でテントを張ってしまうことにした。七時。

周りにはまったく人影がまったくなく、いきなりワイルドなキャンプということになったわけだが、林に囲まれたそのひっそりとした場所は、よく見ると回りに乾いた枯れ木がたくさんあって、火にくべる木にはまったく困らなかった。空を仰げば、天の川が綺麗に見える。たいしてうまくもないはずのソーセージが最高にウマイ。ビールもウマい。期せずして、最高のキャンプになった。

十一時、火を消してテントに入る。

気温が低いのでスエットパンツをはいてシュラフの中にすっぽり入ってみる。するとどうも暑すぎる。羽毛のシュラフは、思いのほか温かいのだ。ジッパーを少しずつ開けていくと結局全開になってしまい、すると寒くなりすぎる。寒すぎて、暑すぎて、どうにも気持ちいい設定が見つからない。結局、スエットパンツを脱いで、Tシャツにパンツだけという軽装になる。シュラフは下半身だけジッパーを全開という設定に落ち着く。

明日は初めての North Rim かあ。楽しみだなあと思っていたら、あっという間に眠っていた。

  • 総合走行距離: 949.32 マイル (1527.78 km)
  • 今日の走行距離: 451.46 マイル (726.55 km)
  • 最高速度: 94.4 マイル/時 (151.9 km/h)
  • 移動時間: 7時間4分
  • 移動平均速度: 63.8マイル/時 (102.6 km/h)
  • 最低最高高度: 4698〜10530 フィート (1432〜3210 m)
  • $3.289 x 4.039G = $13.28 — 09:16:04 R-PLACE 1 — 1100 Aultman St., Ely, NV 89301
  • $3.349 x 3.428G = $11.48 11:25:00 MCCROSKY'S SHELL — Junktion 93 & 319, Panaca, NV 89042
  • $3.299 x 3.833G = $12.65 — 16:58:43 SINCLAIR — Orderville, UT

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