04 January '2007 - 23:39 | アメリカ生活, 子育て 授業風景を見学してきた
学校システムに関しての自分の常識は三十年ほど前に日本で自分が経験したことがベースだし、現在の日本のシステムは当時のそれとはまったく違っているのかも知れないけれど、やはりアメリカのそれは日本とはあまりに違いすぎて興味深い。たとえば、新学期が九月(実際には八月の終わり)というのはよく知られていることだし問題ないとして、年長から小学校というシステムになっているのは子供を持つまで知らなかった。つまり、小学校は年長から五年生まで、中学校は六年生から中二まで、高校は中二から高三まで、という風になっている。ちなみにこれを K-12 システムという。K は Kindergarten の略で日本語では幼稚園の年長。
いつごろ、何故そういうシステムになったのか。同僚に聞いても誰も知らなかった。同僚たちのころは K は小学校ではなかったらしい。
それから、これは市やカウンティによるけれど、パロアルトの公立小学校には、Choice Schools (選ぶ学校)と Neighborhood Schools (近所の学校)の二つの種類があるというのも面白い。
Neighborhood Schools は住んでいるところが属している学校区の学校。日本のシステムと一緒。現住所から一意に小学校が決定される。
Choice Schools には二つの小学校(と、低学年のうちはすべての授業をスペイン語だけでやるとか、早生まれの子たち用に年中と年長の間の学年を設けるというような、特別カリキュラムを提供しているもう二つの学校)があって、それぞれかなり特色のある校風を打ち出している。これらの学校は(もちろんパロアルト市民であることは前提だけだけれど)住んでいる場所に関係なく入学することができる。
ちなみに、この二つの小学校の特色は、一つはものすごく勉学に力を入れていて、とうぜん宿題もものすごく多く、受験生かよってくらいに勉強させられまくりの超詰め込み教育学校で、もう一つはあくまでも本人の自主性に任せて自由に勉強させることで主体性を延ばすことを目標にしている超ゆとり教育の学校。正反対にもほどがあるというくらい違いすぎる学校。公立の小学校なのに。
当然ながら Choice Schools の数よりも入れたいと思う人の方が多くなる傾向があるので、入学できるかどうかはくじ引きで決める。くじにあたった人は、本当に入学するかどうかを決定し、入学手続きを行う。手続きを行った人は Neighborhood Schools には入学手続きはできない。どっちも入学手続きをしておいて直前にどっちかにする、というようなことはできない。私立じゃないんだから、それは当然。くじに外れた人は、そもそも Neighborhood Schools に入学希望を出すしかない。
さて、こういう背景があって、今朝、ひとつ小学校を見学してきた。予約をしておけば中を自由に見て回らせてもらえる。見てきたのは、Choice Schools の「超ゆとり教育」の方の学校。
日本の「先生にゆとりを」教育にはまったく賛同できないけれど、詰め込んで教えることで秀才にしたてて経営者が使いやすい人間を作りたいという野望もとくにないので、本場の超ゆとり教育の小学校というのがどんな感じなのか、とりあえず見てみることにしたのだ。
オフィスで簡単に説明を受け、自由に見て回っていいというので、ビジターバッヂを胸からぶら下げて校内を散策。
この学校は、年長と一年生、二年生と三年生、四年生と五年生が、それぞれ同じ教室で勉強するという変わった学年編成の学校で、どうやって年齢の違う子供たちを一緒に教えているのか不思議に思っていたのだけれど、授業中の教室に入ってみて謎が解けた。
どの教室からもほとんどまったく声が聞こえず、先生は何をしているのかと思いきや、なんとこの学校には授業というものないのだった。自習しかしないのだ。マジデ...
どんな感じで自習しているのか、子供たちをひとりずつ観察してみると、絨毯の上に寝転がって算数をしている子とか、iMac で何かやっている子とか、およそ日本で想像される自習とはかけ離れた風景がそこに広がっている。みんな静かに何かに集中しているようだけれど、好きにやらせ放題。いいのかこんなんで。
ていうか、これ、賢い子は好きに勉強できてどんどん賢くなるかも知れないけれど、馬鹿な子はどんどん馬鹿になって行く気がする。大丈夫なんだろうか。
うーむ。予想よりもぜんぜん extreme すぎて、軽くカルチャーショック。
さすがカルフォルニア。続編期待。
よーこ - 08 January '2007 - 15:57