26 October '2005 - 23:49 | NBA ドレスコード
NBA が導入しようとしているドレスコードを巡って、各方面の賛否両論が熱い。 その中でも、やはり当事者たちのコメントが一番興味深いので、その一部を紹介してみる。ちなみに、NBA のことを知らない人にどういう話か簡単に説明すると、移動中や試合後の選手の格好をビジネスカジュアルに制限しようって案が出ているわけ。
最近は、ほとんどの若い選手がヒップホップ系の格好、つまり、上も下もダブダブで鎖ジャラジャラ系の格好でテレビに映るので、印象が良くないというか悪い と思う人も多いし、まったくプロフェッショナルじゃないってことで、スーツの着用を義務付けようという方向で話が進んでいるのです。
以下、関係者のコメントの抜粋の超訳。
まずは、現実問題としてどうなの派。
- 連日、未明に現地に着くような移動をするってのに、その時にもスーツを着てろって… マジック デショーン・スティーブンソン
- 移動中に関しては、規制は不要だろ。誰も見てない飛行機の中で何を着ようが関係ない。ウィザーズ アントワン・ジャミソン
- ずっとスーツを着ている必要はないはずだよね。特に飛行機の中では。ピストンズ テイション・プリンス
- 試合に出ない選手に限るべきだね。それに、ジャージはチームロゴ入りに限るなんて、意味ないね。ソニックス レイ・アレン
次は、表現の自由派。
- やりたいことは分かるが、どう考えても極端すぎるね。方向が完全に間違ってると思う。スパーズ ダンカン
- 何を着ようと人の自由だと思う。バスやロッカールームで何を着てるかなんて、誰が気にするんだい。ネッツ カーター
- ハリウッドスターだって、テレビに出る時に自由な格好をしてる。選手も同じようなもんじゃないのか。ティンバーウルヴス ザビアック
- スーツを着たら善人になるってわけじゃないだろ。エンロンとかマーサと見ろよ。ウォリアーズ リチャードソン
続いて、やっぱ、ヒップホップ系ファッションはあれだよね派。
- よくヘンな格好で来る選手がいるし、いいことだと思うよ。ボブキャッツ メルヴィン・イーライ
- いいと思う。昔はみんなスーツを着てたけど、最近はヒップホップのファッションショーになってしまってるよね。マジック ヒルっち
- 最近はみんなチンピラみたいな格好だし、そろそろまともな格好に戻すべきだろうね。レイカーズ監督 フィル・ジャクソン
続いて、仕事は仕事派。
- 不愉快な話だけれど、世界で展開しているビジネスだからね。ビジネスマンはスーツを着るもんだし。ジャズ キリレンコ
- 着てなかったスーツの埃を叩けばいいだけ。彼らがルールを作り、おれたちは規則を守るだけのことさ。セルティックス ピアス
- つかイメチェンだろ。いいと思うよ。ちょっと大人になって、スーツを着るだけのことさ。セルティックス リッキー・デイビス
- 全然たいした問題じゃないね。これは仕事なんだから、仕事らしい格好をってこと。キャブズ レブロン君
次は、当事者意識がない派。
- 選手に何かを要求すれば、最初は文句を言うもんさ。すぐにスーツもいいじゃん、って受け入れるよ。ニックス アントニオ・デイビス
- ふつうのネゴと一緒。最初に極端なことを要求しておけば、その半分くらいは通るだろうって考えさ。ネッツ リチャジェ
何が問題なのかさっぱり分からない派。
- そもそもおれはスーツ派だから、とくに何も変わらないよ。ラプターズ ジャレン・ローズ
次は、そんなことより、スーツの心配だよ派。
- そんなにたくさんスーツ持ってないから、工夫が必要だなあ。腕が長すぎてふつうのは着れないし。バックス メイソン
次は、まったく他人事派。
- ジュエリー関係とかもダメだなんて面白いよね。どのオフィスビルよりも厳しいんじゃないかね。ヒート監督 スタン・ヴァン・ガンディ
- ベンチにいない人には適用されないから助かったよ。じゃなかったら困ってたね。ナゲッツ支配人 キキ・ヴァンドウェイ
次は、いらないスーツを買う余裕なんてない派。
- そんなに特定の格好をさせたいって思うなら、彼らがスーツ代を金を出すべきだろ。シクサーズ 愛馬
最後は、おれはイケメン派。
- おれはイケメンなんでスーツは問題なく着こなせるよ。ペイサーズ スティーヴン・ジャクソン
さて、ドレスコードの目的だけれど、これは単純に、極端なヒップホップ文化の排除にある。暴力事件などで地に落ちた感のある悪いイメージを払拭するためには、まずは見た目からってことだろう。
まあ、一言でいって、コミッショナーはマイケル・ジョーダンの頃みたいにしたいんだろうと思う。MJ が神だったころは、MJ を筆頭に、みんなちゃんとした服装でインタビューに答えていた、MJ は最高のロールモデルだった。白人も憧れる本物のスターだった。
でも、今のスターたちは、愛馬も神戸もロールモデルの正反対。こうはなってはいけないって見本。子供にああなって欲しいと思う白人の親はいないだろう。そして、アメリカ人の7割以上が白人。
ビジネスとして NBA を運営しているやつらの危機感も分からんではないが、誰にも聞かれていないおれのカッコいい意見としては、ドレスコードなんて一切不要だよ派。選手の格好 なんてどうでもいいってわけではなく、ヘンな格好をしてるヤツはヘンな格好をしているなあと分かる方がいい。
格好でその人間を判断することはできないけれど、意図してそれを自己の表現の一部としている人は少なからずいる。そういう人の場合、その格好にはそれなりのメッセージが込められている。他人に向けているか、自分に向けているかは分からないけれど。
ホリエモンはTシャツを着てテレビに出るし、おれはバイクに乗るとき以外は決してジーンズは履かない。何らかの意味、メッセージがそこにはある。
ヒップホップな格好をしたからといって急に悪人になるわけではないが、ヒップホップな格好をしている方が悪いことに巻き込まれる確率は高くなると思う。銃を持つこと自体には問題はないが、持っている方が問題が起きる確率は高くなるように。
君子、危うきに近寄らず、とも言う。