ぼんやりと考えている人

ひろしまなおき (廣島直己)
名前: ひろしまなおき (廣島直己)
住処: シリコンバレー
職業: しがないプログラマ
家族: 愛妻一人、息子一人、娘一人
道具: ハーレー二台、ギター三本
電紙: n at h7a.org

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以前にぼんやりと考えたこと

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11 November '2005 - 23:56 | 子育て ゲームの歴史

休みだったので、とりあえず何かをしないといけないと考えて、The Tech Museum of Innovation に行ってみた。

名前から想像するに、おれはそれなりに楽しめそうだけれども子供たちにはまだ無理かな、とも思ったのだが、一度は行ってみないとどんなところだか分からないし、ASTC パスポートプログラムの会員は半額で入れるので、軽い気持ちで午後から行ってみることにした。

ASTC とは Association of Science-Technology Centers の略で、そのパスポートプログラムとは、要するにその手の科学技術系ミュージアム同士でお互いの会員を共有するプログラム。つまり、年会費を払ってメン バーになると、ASTC パスポートプログラムに参加しているミュージアムや動物園に、タダで入れるか、半額では入れるようになる。サンフランシスコ動物園みたいになかなか使える 動物園にも半額では入れるので、子を持つ親としては、かなりお得のメンバーシップといえる。

最近では、インテリジェント・デザインとか、もうとんでもなさすぎて顎が落ちて砕けそうなことを言う人たちが一番偉い仕事をしていたりするアメリカなのだ けれど、一方で、科学の力を信じている人はたくさんいて、日本と比べてもこういうプログラムはたくさんあるし、科学系の番組もたくさんあるし、捨てたものではないんだろうとも思う。

ちなみに、最近のおれはデジタルテレビの中身を書く仕事をしているので、いつも ASTCATSC を間違えそうになるが、両者は何の関係もない。ATSC とは Advanced Television Systems Committee の略。そんなことはどうでもよい。


さて、その Tech Museum、下調べもせずに行ったのが敗因といえば敗因なのだが、当分は行かないことを早々と決定。

何が最悪って、この秋の催し物が、よりによっていわゆるテレビゲームだったのだ。ゲームなんてものは、はっきり言って麻薬のようなもので、子供にはできる限りやらせてはいけないし、できれば面白いということに気づかせてもいけない。はやく、 「PlayStation で遊びたい」などと言っておれを困らせてくれると「仕方ないなあ、買ってやらんわけにもいかんやろ」と言っておれのやりたいゲームが買えるようになって嬉しいはずな のだが、まだ早い。早すぎる。あと何年かはゲームなんて知らなくていい。

なのに、ミュージアムに入ったら、いきなり、ここはゲームセンターかって状態。右も左も、どこもかしこもゲームだらけ。

ただし、そこは Tech Museum。ただのゲームではなかった。70年代後半から80年代半ばまでのポケットゲームから始まり、初代ファミコンからゲームボー イ、最近の PlayStation に至るまでがそれらのゲームとともにずらりと並べてあり、またビデオゲームではインベーダーやブロック崩しに始まって、ドンキーコングやディグダグなど、 80年代初頭のゲームが、あの当時の状態のまま、そこに並べてあったのだ。ぜんぶただで自由にプレイできる状態で。

まだゲーセンが 24時間営業できていたあの時代に、ゲーセンで徹夜して遊びまくった人なら、もう笑えて仕方がないという光景。うどんとカレーヌードルの自販機がそこに置いてあったら、当分自宅には帰れなかった気がするほどだった。

まあ、さすがに当時の最高傑作たち全てがあったわけではないけれど、ドンキーコングがプレイできたのは、最高の収穫だった。ドンキーコングですよ、ドンキーコン グ。ドンキーコングっていうのは、80年代前半、おれがよく行っていた、国道17号沿いのショボすぎるゲーセン「サンライト」では、何を間違えたか壁に

 ドンキー
     フング

と書いてあったんです。コがフってのも間違ってるし、ーとフが近すぎて、ラにしか見えなかったんです。だから、おれと当時の友達は、それをわざとドンキラングと呼ん でいた、そんなドンキーコングなんです。思い出が一杯詰まっているんです。もちろん、右にずらして反対側に飛び降りるという裏ワザも使える本物なんです。って、さすがにその裏ワザまで試す暇はなかったのだけれどね。

いや、誰にも意味が分からんね。orz

まあ、とにかく、おれの思い出のゲームから、最近のゲームまで、ぜんぶ自由にプレイできる状態で置いてあったので、けっこう嬉しかったわけです。子供がい なかったら、朝から晩まで遊んでいたいくらい。子供がいたらそういうわけにもいかないどころか、ゲームなんてやってたら脳が溶けて耳から出てくると言って 騙し続けないといけないのが残念で仕方ないくらい。


それにしても、この 30年分くらいのゲームの歴史を順番に見ながら感じたのは、これはまさに日本の躍進の歴史、凋落の歴史なのではないかということだった。

ゲーム機もソフトも、ほとんどその全てが 当然ながら日本製だったので、ちょっと誇らしく感じたし、ハードの進化はまさに日本の技術力と職人魂の結晶で、日本だからこそ実現できたのは間違いない。

だが、冷静に考えると、これで遊ぶことに没頭し続けている側は、脳みそが溶けて耳から出てくるのは当たり前だろうとも思うのだ。ゲーム脳とかワケ分からん 話はどうでもいいけれど、やはり、一人でできるゲームに長時間没頭し続けるというのは、どう考えても子供にはいい影響はないだろうと思う。

ゲームの進化とともに成長してきた自分の世代と違い、今の子供たちは、ある意味最初から完成された形で高度なゲームを楽しめるわけで、圧倒的に楽しすぎる んじゃないかと思う。もしかしたら、暇とかないんじゃないだろうか。ちゃんと、暇すぎて死ぬとか、あるのだろうか。休みの日に、やることがないのにオヤジ は寝転がってテレビを観ているだけで、あー、つまんないよー、とかあるのだろうか。そういうのがないと、やっぱりいけないんじゃないのだろうか。時間が有 り余って仕方ないというのが、子供たちの置かれるべき正しい状態じゃないのだろうか。暇すぎるから、仕方なく本を読んてみたり、親と話をしてみたり、兄弟 で何とかごっことかをしてみたりするんじゃないのだろうか。ゲームは楽しすぎて、そういうのをなくしてしまってないのだろうか。

って、実はおれの世代も上からはそう思われていたのかも知れないし、今の子供たちの置かれている状況というのもぜんぜん分からんのだけれど。

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