07 December '2005 - 11:17 | アメリカ生活, 日米対決 世界一の医療…なのか
まあ、さんざん語り尽くされていることだけれど、アメリカの医療費は世界一高い。 当然、医療サービスのレベルもたぶん世界一高い。ある意味未開の地から来たおれとしては、アメリカで医者にかかって驚いたことがたくさんあった。
まず、一般の診療でも予約する必要があること。考えてみれば当たり前だけれど、待合室で名前が呼ばれるまで時間を無駄にする必要はないはずで、一度このシステムを知ってしまうと、日本のように、じっと「お医者さま」に診てもらえるまで待ち続けるというやり方はありえない。
次に、医者が患者の部屋に来るということ。日本では医者がふんぞり返る椅子の前に患者が移動して、「おながいします」と言って「お医者さま」に診てもらう。これも考えてみると、プラクティスとしておかしいと思われる。というのも、患者は菌をもってるかも知れないし、その菌を狭い部屋に集めることはよくないはずだからだ。患者はそれぞれの部屋で隔離して待たせる方がいい。
次に、これは保険の種類にもよるが、保険会社指定の医者にしかかかれない。それ以外の医者では、保険が十分に適用されないというこがあるので、基本的にありえない。保険会社が配布する医者一覧表をみて、医者を選ぶ必要がある。また、保険会社がどういう医療をカバーするか決めるので、保険によっては必要な全ての医療を受けられない、もしくは、自腹でやるしかないという事態もある。「アメリカでがんばりましょう:手術しないで!」にも書かれているけれど、自分が受けようとする医療サービスが、自分の保険でどうカバーされるのか、ちゃんと確認してからじゃないと、あとでいくら請求されるか分かったものじゃない。
いろいろと面倒くさい感じがするが、この手の話はアメリカではきりがないので、これが面倒ならアメリカで気楽に暮らすことができない。ちなみに、裏わざと言うかふつーの方法としては、PPO に入るのが簡単。この保険なら、好きな医者にかかれるし、医者に許されている医療にも基本的に制限がない。John Q. も HMO じゃなくて PPO に入っていたら、何の問題もなかった。ただし、当然ながら、PPO は高い。いいものは高い。いいのに安いというのはありえない。
それから、医者は、大きな病院の施設を自由に使えるというのもいい。アメリカの個人開業医は、総合病院の周りに小さな診療所を借りて点在していて、必要なら総合病院の最先端医療機器を使うことができる。アメリカの総合病院の周りをうろつくと、実際、物凄い数の個人医が開業している。医者は、大きな設備投資をしなくても開業できるし、患者は、そのへんの町医者だからとバカにする必要もない。たとえば、産婦人科も、出産(もしくは入院)する時だけ大きな病院の施設を使えばいい。
この合理的な仕組みは日本でも一部の地方では導入され始めている。ただし、開業しやすくすることや機会の均等を保証するというアメリカらしい理由ではなしに、少ない医者でサービスの質を確保しなくてはいけないという地方特有の理由なので、都市部で実現されるのは来世紀か、再来世紀くらいかも知れない。
あとは、実際の現場の人の話としては、中田力著「アメリカ臨床医物語」とか南淵明宏著「心臓外科医」が興味深かった。どうやって彼らが日本の医療を変えていくのかは見守るほかないけれど、彼らのような医者が日本を諦めずに頑張っているということには心から敬服してやまない。ぜんぜん関係ないけれど、もしかしたらよしおか氏も同じような志で日本に帰ったのかなあとも思うのだけれど、今のところ、おれにはそんな度量も気概もない。
アメリカの医療システムは、強者にだけ優しくて弱者にはとことん冷たい、とんでもなく不公平なシステムだという声もあるわけだが、日本のシステムでは最高の医療技術革新は滅多に起きたりはしないわけで、人類の進歩を牽引するアメリカとしては、アメリカ国民の一部を犠牲にしてでも人類の発展に寄与しているという気概がある。それはこじつけ。
てか、続きは想像しろ、という、新手の放置プレイですか。
よろしければ続きを是非。
そんなわたしは先週、MRIを受けてきましたよ。色々とゴイスーでした。orz
虫 () - 07 December '2005 - 15:33
それはそうと、MRI いいなあ。おれは CT しか経験がないので、MRI の話は今度じっくりと聞かせてもらいたいの心。
ひろしま () - 07 December '2005 - 19:58