ぼんやりと考えている人

ひろしまなおき (廣島直己)
名前: ひろしまなおき (廣島直己)
住処: シリコンバレー
職業: しがないプログラマ
家族: 愛妻一人、息子一人、娘一人
道具: ハーレー二台、ギター三本
電紙: n at h7a.org

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以前にぼんやりと考えたこと

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02 September '2006 - 19:16 | 単車と旅 Sturgis 2006 (その1)

旅の初日、八月五日。土曜日。

始まる前から問題が発生した今回の旅だけれど、とにかく、今日、C と二人で出発する。

朝食を取り、忘れ物がないかを確認し、全ての荷物をバイクに載せる。出発を目前に控え、心があまりに高鳴らないように、平常心で必要な作業を淡々とこなす。

ガラージから出したハーレー二台に子供たちがよじ登って遊ぶ。

こ れから始まる二週間の旅にワクワクしている反面、子供たちには二週間も会えないと思うと、かなり後ろ髪を引かれる思いがする。まあ、写メールという手もあ るし、お父さんが友達と遊びに行ってしまってお家に二週間もいないという状況は、子供たちにとってもいい体験になるだろう。

四年ぶりのスタージスへの旅。

分かりやすいのでスタージスへの旅とは言うものの、実際にはス タージスは旅に出るための単なる言い訳だ。スタージスにはただ寄るだけであって、本当の楽しみはその道程にある。これはどんなツーリングでも同じ。バイクでの旅の目的とは、目的地にたどり着くことではなく、目的地に行こうとする行為とそのための手段を行使することにこそある。つまり、手段が本当の目的であって、目的地は手段を行使するための方便というわけだ。

準備はできた。八時半。さあ、出発だ。

出発してすぐに El Camino Real に出ると、近くのモーテルに泊まっていた Y と Y の女房がこっちに向かって手を振っているのが見えた。本当なら一緒に出発する予定だった二人だ。おれと C がここを通るまでずっと待っていたのだろうか?よく見えなかったけれど、二人で手を振っていたということは、嫁さんもだいぶ元気になったということなんだろうか。

何日後になるかは分からないけれど、二人とちゃんと合流できますように…

Woodside から Dumbarton Bridge までは、US-101 を使わずに裏道で抜けていく。いきなり US-101 に飛び乗るよりも、裏道でのんびり走りながら橋に向かい、橋の手前からスピードを上げていく方が気分が盛り上がるのだ。

見慣れた橋を渡り、インターステートに乗る。まずは、Stockton まではひたすら高速道路を走って、街から脱出するのだ。

日本から来た人たちにはさんざん田舎だと揶揄されるベイエリアだが、高速道路で二時間ちかく走らないと街からは完全には脱出できないのだから、アメリカ全体の空虚具合で考えると、物凄い大都市圏の一つなのは間違いない。

Stockton から CA-88 を北上。Jackson あたりまでは我慢が必要だが、そこから先は徐々にシエラネバダ山脈を越える林道へと変わっていく。カリフォルニアでも有名な Scenic Byway の一つ。誰を連れてきても、いつも好評な道だ。

が、しかし、今回はあまりにも車が多すぎた。いつもならば、目の前のすべての車をどんどん追い越して、高速コーナーの連続する林道を堪能するところなのだけれど、とにかく、抜かすべき車が多すぎる。昨日アメリカに着いたばかりで、時差ぼけもかなりのものだと想像される C と二人で走っているので、車を追い越すのにもそれなりに気を使う。一台追い越すだけなら何の問題ないけれど、三台も一気に追い越さないとなると、一人でさっさと走っていってしまうわけにはいかない。

抜かしても抜かしても車の後ろを走らされ、結局、CA-88 の楽しさをそれほど堪能することもできずに South Lake Tahoe の分岐点まで到達してしまった。この道が大好きなおれとしてはかなり物足りなかったのだけれど、最初から飛ばしすぎても仕方ないし、八年ぶりに一緒に走る C との間合いもまだまだ計りきれていない。

さて、いつもは Lake Tahoe は飛ばして Carson City に先を急ぐのだけれど、今回はなんとなく Lake Tahoe に寄ってみることにした。C が Lake Tahoe には行ったことがないというし、綺麗な Lake Tahoe を観るのも悪くないだろう。そういえば、おれもバイクで来たことはない。

だが、これは完全に余計だった。観光地 Lake Tahoe の週末は、案の定、大渋滞していた。

よくよく考えてみれば、そもそもここはそういうところだったかも知れない。いつも車で来ているところは、そこがバイク乗りにとってどういうところなのか、いまいち正確に理解できていないということかも知れない。それに、ときおり垣間見える湖は確かに綺麗な湖面を現しているのだけれど、ロープウェイで上まで登って見ないことにはなんら特別な感慨も浮かばないということにも、今更ながら気づかされた。

ひとことで言って、Lake Tahoe はバイクで走って楽しめるところではないということだ。

せっかくなので、ゆっくり立ち止まって観光していくという手もあったのだろうけれど、こんな大渋滞の観光地はさっさと抜けたいという思いで、とにかく我慢の走りを続けることにした。こんなことなら、Lake Tahoe なんかに寄るんじゃなかった。おれは Lake Tahoe がどんなところかよく知ってたはずなのに、C には悪いことをした。もう、バイクでは来ない。

お腹がすいているのを我慢して、なんとか Lake Tahoe を抜ける。やっとの思いで Carson City に到着。もう三時だ。

町を抜ける前に何か食べなくては体力が持たないと、とりあえず目に入った Carl's Jr. に飛び込む。かなり遅めの昼飯。6 Dollar Burger を食べるのはかなり久しぶりだったので、思いのほか満足。

さて、飯を食ったら先を急ぐ。今日は、最低でも Austin まで行く必要がある。四年前は Austin に泊まった。ただ、三年前に走った時には一日で Ely まで行ったこともあるし、できれば Ely まで行きたいと思っている。

ふたりともタバコを吸わないのでペースが早い。ガソリンスタンドでガスを入れ、水を買い、トイレに行ったら、さっさと出発できる。二人しかいないので、何ごともスムーズに進む。

Carson City を抜け、Fallon を抜けると、後は、もう何もない砂漠に突入する。The Loneliest Road in America と呼ばれる US-50 をひた走る。この旅は、こういう道が走りたくてやっているようなものだ。

US-50

何もない砂漠をひた走り、遠く左手に見える Sand Mountain に立ち寄る。五時。

Sand Mountain, Nevada

バギーカーやオフロードバイクで砂の山を登って遊んでいる人たちは、ここで遊ぶために何時間もかけて来たのではなく、このためにわざわざキャンピングカーでここに来て、そのまま住んでしまってるように見える。どうやって生活しているのかさっぱり分からない。旅をしていると、そういう世捨て人みたいな人をちょくちょく見かける。

遊んでいる人たちをひとしきり観察し、感心したあと、また何もない道に戻り、西へ向かう。

ほどなく Austin に到着。六時半前。とりあえず今日のノルマは達成だ。これから、どこまで走るかの相談をする。

さっきまで、今日は Ely までは行けるだろうと思っていたのだけれど、思いのほか疲れていることを感じる。久しぶりの長距離だし、Lake Tahoe の渋滞も疲れたし、もしかしたら年もあるのかも知れない。知らないうち三十も後半だし、C なんて気づいたら四十代になってる。Ely は遠すぎるなあ。

Ely まで気力が持つかどうか、よく分からないので、とりあえず、Eureka まで走ってみてから考えようと決める。

そして、Eureka に到着。七時半前。

さて、どうするか。この先の Ely までは、途中にまったく町がなく、二時間くらいかかるので、Eureka を発つか、泊まるかの二者択一。

今すぐにここを発っても Ely に着くのは九時過ぎになる。八時半くらいには日が暮れるだろうから Ely につく頃には真っ暗になっている。

うーん、やめよう。疲れたし。

おれとしては、Austin にも Ely にも泊まったことがあるけれど、Eureka にはまだ泊まったことがないので、ここで泊まるというのは悪くない。

そして、人口千人に満たない小さな町、Eureka の Ruby Hill モーテルに泊まることにした。典型的な田舎町のモーテル。55ドル。ちょっと高いけれど、他にないので仕方ない。

宿が確保されたら、次に考えることはメシだ。

が、ちょっと前にボリュームたっぷりのハンバーガーを食べたばかりなのにで、おなかはぜんぜん空いてない。晩飯は、ビーフジャーキーとビールでよしとすることにしよう。

モーテルのとなりのスタンドでつまみを買い、ビールを買おうとしたら、酒は売ってない。向かいのバーで買えるというので、道路を渡ってバーに入る。田舎のバーなので、 常連客の「なんだこのアジア人は」的視線がちょっと痛かったりするが、店員は通りすがりの客人になれた様子。ネバダにいるので Sierra Nevada を買うことにする。C が二本でいいというので、おれも二本にして四本。「Sierra Nevada を 4本ください。」

そしたら、カウンターの姉ちゃんが「4本だと 14ドルだけれど 6本なら 10ドルだから、6本にしなよ」と言う。あれば飲むだけのことだし、安いにこしたことはない。素直にそうすることにした。それにしても、あっという間に一日目が終わってしまった。待ちに待った一日目だったというのに。

半年も待ったこの二週間が、こんなに早いペースで消費されていくのはもったいない。でも、まだ、あと二週間近くもある。これから毎日、こういう日が続くのだ。来週も続くのだ。そう考えると嬉しくて仕方ない。

なんとなしに携帯を確認してみると、案の定、電波は届いていない。これからコロラドに入るまでの数日は、電波のない生活だろう。それにしても、Y は、いつバイクを手に入れて出発できるだろうか。それとも、本当に出発できるのだろうか。

そして、明日の予定のことなどまったく考えもせず、知らないうちに二人とも寝ていた。

  • 総合走行距離: 496.86 マイル (799.61 km)
  • 今日の走行距離: 496.86 マイル (799.61 km)
  • 最高速度: 93 マイル/時 (149.6 km/h)
  • 移動時間: 8時間21分
  • 移動平均速度: 59.6マイル/時 (95.9 km/h)
  • 最低最高高度: -34.9〜8577 フィート (-10.6〜2614 m)
  • $3.499 x 3.622G = $12.67 — 09:56:03 JON'S PIT STOP — 10773 HWY 49, Martell, CA 95654
  • $3.379 x 4.019G = $13.58 16:12:59 SMEDLEYS CHEVON — 1755 W. Williams, Fallon, NV 89405
  • $3.589 x 3.149G = $11.30 — 18:20:00 JOE DORY'S CHEVRON — 16 Main St., Austin, NV

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さて 途中の「二人しかいないので何事もスムーズに進む」ってとこは引っかかった。ん、何って二人しかいないのに永遠とコンビニの前で駄弁った二人は今回の二人だからね。やはりアメリカは広いから?ツアラーだから?大人になったから?(笑)

今後の楽しみとしては一般的には劇的なYとの合流だろう。だがオレの興味は果たしてイエローストーン温泉に入ったのか?だ(笑)今日の所はここまでにしておこう。
たしかに、コンビニの前で永遠にハーレー談義(もしくは暖気)していたあの頃は、20代と30代という絶好調の青年コンビだったのに、今じゃ30代後半と40男の中年コンビだから、すこしは大人になったかも知れない(笑)
いまさら気付いたけど、初日って800キロも走ったの?
走りすぎじゃね?!

そして、この日はバイクを取りに行って、昼にうどんが食べたくて2時間近くさまよってた。

  
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