16 November '2006 - 16:19 | アメリカ生活 公正を期すということ
先日、五年ほど住んだ家を離れて新しい町に引越してきたのだけれど、引越の時には前の家の保証金が帰ってくる。これは、日本もアメリカも一緒。
前回の引越の時は、壁の修繕がどうとかいう理由でもって、保証金から 100ドル引かれたチェックが新しい住所に送られてきた。修繕が必要なところなどほとんどなかったけれど、一部、生活していたらそれくらいはしかたないという部分もあったのは確か。
ただ、そんなものの責任はないって言ってやってもよかった。言わなかったのは、庭が広い次の家が決まってハッピーだったのと、当時の家賃下落傾向を鑑みて家賃を200ドルだかそれくらい下げたら引越をやめるか検討してもいいと言ってあげたのに 1ドルも負けられないと言って決裂したあげく、引越が決まってから、やっぱり 50ドルなら負けてもいいとか言い出して、こいつとつき合っててもいいことはないな、と思っていたからだった。
さて、今回の引越ではどうなったか。
いくらおれたちが潔癖性の日本人とはいえ、壁にも棚用の穴をたくさんあけたし、子供たちはまさにやりたい放題の五年間だったし、このまますぐにテナントを探すというわけにも行かない。細かくいろいろと修繕しないといけないところも多いはずだ。
そして、引越の直前に家の具合を見に来た大家は、家の隅々を見て回ってこう言った。
(はがれかけた壁を指差し)この部分はもともと家の作りが悪い部分だから、ぼくの責任だね。
(棚用の穴だらけの壁を指差し)この部分は住んでれば仕方ないから、気にしなくていいね。
それにしても、こんなに奇麗に使ってくれて、本当にありがとう。後日、ちゃんと計算して、保証金をチェックで送るね。
もちろん、五年分の利子をつけてね。
そうじゃないとフェアじゃないからね。
うーむ。
この五年間、どんな些細な注文でもちゃんと聞いてくれたし、おれが勝手にどこかを直した時などは、レシートを送って家賃から引いといてなんて言う、とても話の分かる大家だったのだけれど、保証金の利子までくれるとは思わなかった。
そういえば、いままで保証金が満額で戻ってきたことなんて一度もなければ利子がついてきたこともない。小さなことだけれど、大家はそういう部分でもお金を儲けるべきものだと思うので、この公正すぎる対応には正直ちょっと戸惑った。
そして、今日、そのチェックが届いた。五年前に払った保証金よりも多い。保証金が戻ってきたら iPod Hi-Fi でも買おうと画策していたのだけれど、利子だけで買える。
計算してみたらその金利は 4% ちょっとだった。すごい。感服した。