ぼんやりと考えている人

ひろしまなおき (廣島直己)
名前: ひろしまなおき (廣島直己)
住処: シリコンバレー
職業: しがないプログラマ
家族: 愛妻一人、息子一人、娘一人
道具: ハーレー二台、ギター三本
電紙: n at h7a.org

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以前にぼんやりと考えたこと

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08 February '2006 - 22:26 | 日米対決 マージフォンの L10N

「にしがはち」と覚えるべしと、かれこれ30年近くことあるごとに言って来たのでもう知らない人はほとんどいないと思う。 そう、今日はおれの生誕記念の日。

誕生日プレゼントは何が欲しいのかと、なぜか女房に聞いてもらえなかったので、忘れるといけないと思い、気を効かして自分から何が欲しいのかを手短に伝えた。「マージフォンのアメリカ版ね。」まあ、常識で考えれば分かることだけれど。

というわけで、とうとう念願の「Mystic Morpher」を手に入れた。

なにゆえそんなに欲しかったかというと、そのもの自体の魅力もさることながら、やはり、先日書いたように呪文の英訳が知りたかった。アメリカ人はどういう言葉を作り出すのか、と。

しかしながら実際に製品を手にしてみると、そんなことよりももっと興味深いことをたくさん発見した。ぱっと見、まったくおなじ製品なのだが、当然ながら細部にたくさんの違いがあって、そこにはそれなりの理由があるわけだ。以下に、それらを順番に見ていく。

まず、名前。日本版はマジレンジャーのマージフォンで、アメリカ版は Power Ranger Mystic Force の Mystic Morpher という名前。日本では単に電話だが、アメリカでは変身機という説明的な名前になっている。というよりも、日本のちびっ子にフォンはちょっとカッコよくても、アメリカのちびっ子に Phone はまったくカッコよくないからだろう。Morpher はちょっと難しい単語だしカッコいい。

次に値段。マージフォンは定価が3150円だが、Mystic Morpher は 13ドル。今ではマージフォンも安く売っているが、Mystic Morpher は新発売なのに実売 10ドル以下。安い。

日本では、安くても質の悪いものは売れないが、アメリカでは質より値段。値段が全て。当然ながら安ければ安いほどいい。こんな玩具が 30ドルもしてたら、ぜったいに誰も買わない。

次に大きさ。アメリカの方がとうぜん大きいかと思いきや、これはアメリカ版の方が小さい。



日本の人には実感しにくいと思うが、実際の携帯のサイズは、日本の主流のものよりもアメリカのもの方が一回以上小さいものが多い。日本で主流のものは、画面がそれなりに大きくて日本語でメールなどが使える必要があるのに対し、アメリカのそれは簡易メッセージが送れれば十分だし、通話自体もハンズフリーなどを使うことが多く、耳に当てて使うサイズになっていなくてもいい。

次はベルトクリップ。上の写真の左下にあるプラスチックのものは、アメリカ版にしかついていないもので、これは電話をベルトに取り付けるためのクリップ。

日本では携帯が出始めの頃に見かけたスタイルだが、アメリカではそれが主流。ポケットなどに入れないのは、受信感度が日本と比較にならないほど悪いというのもあるし、ストレートのジーンズを穿く人が多く、ポケットだとキツイというのもある。

次は電話のボタンとディスプレイ。

日本版



日本のそれは見た目のカッコよさが大事。また、ボタンの上のディスプレイは、付属の紙のプレートを差し替えることができる。マジレッド用の電話に したり、マジグリーン用にしたりできる。小さいものを丁寧に扱わなければならない、扱えなければならない、という日本人の起用さを、幼少の頃よりこうやって鍛えていく。

アメリカ版



それに対し、アメリカのボタンは、たとえ手袋をしていたとしても押したことがはっきり分かるものが好ましい。カッコよさよりも、とにかく Heavy Duty が基本。また、ディスプレイ部分は固定。小さい紙プレートなど、すぐに破れてなくなってしまうし、どうせ、いちいち入れ替えるような面倒なことはしないし、できない。


次は音。

使ってみてびっくりしたのだが、アメリカ版の方が出力がだいぶ小さい。静かにしていないとなんていったのかよく分からない。また、声質はいわゆるロボット風の声。トーンが一定でいかにも機械っぽい雰囲気を出している。

それに対して日本版の方は音が大きい。子供が騒いでいても、十分聞き取れる。また、声質はかなり力んだ感じで凄んでいる。アメリカ的にはギャングっぽく下品な感じがするが、日本的にはなんか強そうな感じ。権威というものに対して基本的に肯定的な日本と、基本的に否定的なアメリカの差を微妙に感じる。

それにしても、どう考えてもアメリカの方が音量が大きくないとおかしいので、予算の問題だろうと思われる。

次はライト。

日本版



日本版では呪文の音がするたびに、先端部分と丸い透明部分の二つがが赤く点滅する。

アメリカ版



それに対し、アメリカ版では先端の透明部分は点滅しないし、赤い部分は赤いまま。どこにもライトは使われていない。予算の差がはっきり。


次に電池の蓋。

日本版



日本版は、子供が簡単に開けられないように、左上にある小さな突起で蓋が動かないように工夫してある。ボールペンなどで押しながら開けられるようになっている。

アメリカ版



それに対し、アメリカ版ではスク リュードライバーがないと開けられない。ボールペンがあれば開けられるというような工夫なんていらないし、そんな小さいものを作るのは難しい。間違って開いてしまって古い電池で子供が火傷をするというようなことは、アメリカでは絶対に許されない。

電池を 換えるためにわざわざドライバーが必要だという不便は日本では許されないが、間違ってあいてしまう可能性をアメリカでは受け入れられない。


次は開閉ボタンの動作。日本版では携帯の開閉自体は手で行い、そこからワンドモードにするのにワンタッチボタンを押すのに対し、アメリカ版では携帯の開閉自体をワンタッチボタンで行い、そこからワンドモードにするのは手で行う。また、開閉の動作のスムーズさは、比較するのが無理なほどの差がある。日本版の方がはっきりとスムーズで安定しているのに対し、アメリカ版はぎこちなくまったく安定して開閉しない。

稼動部分の質には、値段の差がはっきりとある。


次に取り説。

日本版



大人向けに法的に必要だと思われることはもちろん書かれているが、基本的に完全に子供向けに作られている。見ているだけでワクワクしそうな雰囲気をかもし出している。この取り説を作るだけでもちゃんと時間をかけてデザインしているのが分かる。

アメリカ版



それに対し、アメリカ版の取り説は完全に大人向けで、子供ははなから見ないものとして、ただ必要なことが簡潔に書かれている。まさにただの取り説。また、英語のみならず、スペイン語とフランス語も書かれている。カナダにはフランス語圏の州があるし、アメリカにはスペイン語で生活している人がたくさんいるので、北米向けの製品は基本的にこの三つの言語をサポートしていなければいけない。

この取り説だけでも値段が違うことがはっきりと分かる。


次に呪文のコマンド。

日本版



日本版では基本の変身コマンドが 1+0+6 という、覚えにくくかつ押しにくいコマンドになっている。遊びながらも日本人らしい器用さを身に着けていくための仕掛けがここにもある。

日本版



また、日本版の取り説ではボタンと呪文語の対応を、視覚的で分かりやすくするため別枠になっている。

アメリカ版



それに対し、アメリカ版では基本の変身コマンドが 1+2+3 と超簡単。どんなバカでも覚えられるし、押せる。また、呪文とボタンの対応表も一緒になっている。


Mystic Force に変身するのに必要なスキルは、 マジレンジャーに変身するために必要なスキルに比べると何倍も少なくていい。

参入障壁を高めに設定して全体の底上げを図る日本と、誰でも簡単に参加できるようすることで多様性を生み、そこからイノベーションが生まれる余地を作るアメリカ。


おなじバンダイの製品でも、日本とアメリカではまるで違う製品になる理由がたくさんある。

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おおっ!昨日がひろしまさんの生誕記念日でしたか。実は今日は私の誕生日です。
肉の日だって事あるごとに言っていますが、知っている人は極々少数。
ところで、マージフォン、なかなかカッコイイですね。よくWal-Martなんかで、パワーレンジャーの人形などを見かけますが、あまりにもマッチョなのが頼もしいです。私も何か買ってもらおうかな・・・。
誕生日、おめでとうございます(上のコメントに書くのを忘れてしまいました、スイマセン)。
おぉ、一日違いの誕生日でしたか。忘れたくても忘れられないじゃないですか。困りましたね。
それはそうと2月生まれを選ぶとは、さすがですね。1月末日と2月1日では雲泥の差ですからね。

  
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酢ハムがいったいどんなハムなのかはともかく…
 

 

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