ぼんやりと考えている人

ひろしまなおき (廣島直己)
名前: ひろしまなおき (廣島直己)
住処: シリコンバレー
職業: しがないプログラマ
家族: 愛妻一人、息子一人、娘一人
道具: ハーレー二台、ギター三本
電紙: n at h7a.org

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以前にぼんやりと考えたこと

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17 September '2006 - 22:28 | 単車と旅 Sturgis 2006 (その16)

旅の最終日、八月二十日。日曜日。

七時半、起床。早く寝ているせいもあるが、早起きするくせがついている。

Y とは九時の約束なので、もう少し寝ていてもいいが、目が覚めてしまったので起きることにする。

だらだらと着替え、荷物を片付け、出発の準備を整える。

とくにすることがなくなり、ESPN でも観てのんびりしていると、C がごそごそと布団に入りなおしている。なにをするのかと思ったら、しっかりと寝る体勢になっている。出発の準備が完全に整った後に、まだ寝るか。

準備が終わってから惰眠をむさぼる C

九時、C をたたき起こして出発。

朝飯は、昨日の晩飯の時に見つけたマックに行くことにする。

日曜日だし、本当はダイナーでエッグベネディクトでも食べたいところだが、その気持ちは誰にも理解されない。みんな、エッグベネディクトが何なのかも知らなければ、ダイナーで朝飯を食うということに対するノルタルジーもない。

八年前にアメリカ人と旅をした時には、朝はダイナーが基本だった。今日はさっさと先を急ぎたいというような日でも、のんきにダイナーで朝飯を食った。その頃は、そんなにこんな食事が嬉しいのかとさんざんバカにしたけれど、今は彼らの気持ちがよく分かる。近くにあったら Perkins に行きたいと、おれも思う。

全てが分かるわけではないし分かる日も来ないと思うけれど、アメリカ文化に対する理解度は、八年前と比べると千倍くらいになっていると思う。

さて、朝マックだ。注文は決まっている。ソーセージエッグマフィン。飲み物はコーヒー。そんなこと聞くなとすら言いたい。

出てきたハッシュドポテトが少し欠けていたので、丁寧に換えてもらうように言うと、同じものを上下逆さまに入れなおして持ってきた。はあ。わざわざ朝から気分を悪くさせてくれる必要はないのになあ。店長の前でボロカス言ってやってもいいのだが、どうせ店長も、そんなことくらいでそんなに怒ることもないだろうと言う態度を取るんだろう。しょせん、ヘボ田舎のマックだ。言うだけ無駄なので、ダメな客を甘んじて受け入れる。どうせ二度と来ないし、積極的に来ないという態度を取ることもできないし、対抗する手段がない。

C は相変わらずグリドルズを食べている。本当はソーセージエッグマフィンが食べたいはずなのに、おれを騙すためだけに、よく我慢して食べられるなあ。それにしても、いったい、どんな味がするのだろう。

九時四十分、出発。CA-99 を南下。ああ、もうすぐ旅は終わる。

I-5 の何倍もましとはいえ、CA-99 はどこまで行っても町の中。しかもアメリカの全ての都市部の郊外に見られるような典型的な店ばかりが立ち並び、観るべきもは何もない。アメリカに暮らしている人なら全ての人が知っているような大型量販店ばかりが目に付く。

ところどころの交差点で信号に止められながら黙って CA-99 を南下。

十一時すぎ、Sacramento に到着。街を抜けるために I-5 に乗る。

街を抜けたところで CA-160 に乗り換えるための Exit を探す。GPS でみるとそろそろだ。Exit-511 のところで、CA-160 まで 1マイルと書いてあった。次の Exit で降りればいいのだろう。いつでもインターステートを降りられるように一番右側の車線でのんびり走る。

が、どこまで走っても Exit がない。4マイルほど走ったところにやっと Exit があった。さすがにだいぶ南に来すぎてしまっているが、降りるしかないので降りる。このまま I-5 を南下して帰ることもできるし、その方が早いのだが、そんなつまらない帰り方はない。四年前の最終日は L.A. から I-5 で一気に北上して帰ってきたが、やはり罰ゲーム以外の何ものでもなかった。

十一時二十分、Exit-507 を降りて、とりあえずガスの補給。CA-160 に戻る道がないかを探してみる。

しかし、どれだけ走ってもそれらしい道がない。1マイル (1.6km) ほど西に走ることができれば CA-160 にぶつかるのに、東西に走る道がひとつもない。I-5 を境に完全に東西に分断されているらしい。

うーん、さっきからうろうろして時間を無駄にしているだけだ。やっぱり、急がば回れか。面倒くさいけれど I-5 を戻って Exit-511 でおりよう。そこから東に走っていけば必ず CA-160 にぶつかる。

十一時四十五分、Exit-506 から I-5 を北上。Sacramento に向かう。

ほどなく Exit-511 をおり、難なく CA-160 を発見。やはり、最初からここで降りていればよかったのだ。世界中の全ての道路標識にいえることだが、なにゆえこんなに不適切なサインが作れるのだろうか。地元の人には関係ないし、通りすがりの人は公式に文句を言わないので永久に改善されないということなのだろうが。

十二時、CA-160 を南下。河沿いののんびりした道。

見ると、ぜんぜん綺麗な河でもないのにクルーザやら水上スキーやら、好き放題に若い連中が遊んでいる。このあたりの人は、この河でしかそういう遊びができないのだろうが、日本だったら、こんな河でそんな風には遊ばない気がする。まあ、その前に、クルーザで遊んだりすること自体がアメリカほど一般的なことではないわけだが。

十分ほど走ると、CA-160 が河の反対側に移動。橋で渡る必要がある。

と思ったら、その橋が動いている。さっきみた大きな船を通すために、橋そのものが動いている。可動橋だ。アメリカではそこら中で見るが、日本ではほとんど見なくなった。

そういえば、アメリカで一番最初に住んだ町にも可動橋があり、しかもダウンタウンに近いところにあったので、それが動いてるところを見たときは、凄くびっくりした。橋が動いている間、黙って十分以上も待たされるのだ。大らかさを強要される仕組みはアメリカ社会のあらゆるところに見られるが、可動橋もそのひとつだろう。

最初は、なんでこんな無駄なことをするのか分からなかったのだが、調べてみたら可動橋の方が固定橋よりもかなり安く作れるということを知ってびっくりした。つまり、みんなが大らかに待つことを受け入れられれば、インフラのコストを削減できるというわけだ。日本では、質の低いサービスは受け入れられないし、高い橋を作る方がゼネコンも政治家も嬉しいのだから、絶対に受け入れらないのだろう。

二十分ほど、ただその橋が上下して船が通過するのを待つ。橋が下りたところで出発。向こう岸に渡り、CA-160 を南下。

十二時四十分、道路のわきにタコスの屋台を発見。ここで昼飯にしよう。

「ウノ アサダ」 ビーフタコをひとつ。

見たこともないソーダ瓶を、みんなであれこれいいながら飲む。説明されてもよく分からない。

天気もいいし、屋台で安いタコスを食べられて、幸せだ。こんなところに屋台があるというのは、やっぱりカリフォルニアに帰ってきたなあ。ラティーノと触れ合えて、幸せそうな Y と H ちゃん。

ちなみに、この昼飯でひとつびっくりしたことがあった。それは、Y も H ちゃんも L.A. にいるのにスペイン語が喋れないこと。L.A. にいるならスペイン語から勉強するべきだろ。

おれも喋れるわけじゃないが、挨拶もできるし、数も数えられる。アメリカに住んでたら誰でもできるレベル。「まずは英語」と Y は言ったが、そういえばおれもそう言ったことがある。まだ英語に自信がまったくなかったころ、スペイン語なんてひとつでも覚えたら大損だくらいに思っていた気がする。でも、Y は英語は上手なんだから、もうスペイン語を勉強するべきだと思うけどなあ。まあ、おれも知らないうちに覚えていただけのことだし、Y もそのうち数くらいは数えられるようになるんだろう。

一時、おなかも満足したし、出発。

一時十五分、また可動橋で向こう岸に渡る。今度は待たされずにすんだが、もとに戻るなら最初から河の東側を走ってくれば良かった。そうすればさっきの可動橋で待たされずに済んだ。って、それだとタコスも食えなかったけれど。

河口に近づくにつれ、風がどんどん強くなっていく。もうすぐ河が終わるという合図だ。

一時半すぎ、CA-4 に乗り換え。中央分離帯もあるしニ車線の大きな高速道路になった。田舎道の旅は終わりだ。あとは、インターステートを乗り継いで帰るだけだ。

CA-4 から CA-242、I-686、CA-24 と乗り継ぎ、二時十五分、Oakland に到着。I-580 に乗り換え。

ああ、帰ってきた。ここからは地図がなくても帰ることができる。見慣れた風景が目に飛び込んでくる。終わっちゃったなあ。

行きは Dumbarton 橋を渡ってきたから帰りは San Mateo 橋を渡るか。会社のまん前を走り、US-101 を南に向かう。

三時、US-101 を降り、信号を待っている間にすかさず自宅に電話する。「今、101 を降りた。んじゃ」

ほどなく我が家に到着。ああ、終わった。なにはともあれ、無事に終わってよかった。

ガラージの前で、子供たちが大喜びで騒いでいる。バイクを止め、ヘルメットを取る。「ただいま!!」 「おかえり〜!!」

息子が大喜びで抱きついてくる。少し見ない間に、また大きくなったようだ。

娘の顔はこわばっている。こちらをずっと見ているが、目が合うと目をそらす。まだ人見知りをするとはいえ、おれはお父さんだよ。頼むよ。決して、お母さんから離れようとしない。ちょっと悲しいが、自業自得とも言う。

ああ、終わったなあ。本当に終わったなあ。

まだまだバイクに乗ってたかったけれど、やっぱり終わっちゃったなあ。いつか、終わらないほど長い旅をしてみたいけれど、C は三ヶ月の旅もあっという間に終わったと言ってたし、どれだけ走ってもキリはないんだろうな。

とにかく、みんな無事に帰ってこれてよかった。またいつか、みんなで走りたいね。

おつかれさまでした

  • 総合走行距離: 5811.61. マイル (9352.88 km)
  • 今日の走行距離: 238.85 マイル (384.39 km)
  • 最高速度: 83.1 マイル/時 (133.74 km/h)
  • 移動時間: 4時間14分
  • 移動平均速度: 56.3 マイル/時 (90.6 km/h)
  • 最低最高高度: -61.3〜830 フィート (-18.7〜253 m)
  • $3.229 x 2.868G = $ 9.26 — 11:23:25 SHELL — 9100 Harbour Point, Elk Grove, CA

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最後まで読ましてもらいました。 感想: 今度はおれもつれてけ! すげー楽しそうでう羨ましいかぎりです。 旅は大変なこともたくさんあったと思うけど、いいとこばっか書いてあるってことはすごいいい旅だったんだな感がひしひしと伝わってきます。

ひとつだけ言っておきたいのが、MacGriddleはおいしくないと俺もおもう。 でも、おじさんの羞恥心のなさが変わってないところはいいことだと思いながら読ませてもらいました^^;
レポートの旅もすぐに終わっちゃたなぁ。これで全て終了って感じ。今回は風邪がいいハンディになってて、走りのペースがバッチリだったね。次回はTC96になるから風邪ぐらいではダメだね (笑)
go55man:
旅は大変なことも含めていいことだらけだったよ。おじさんがアメリカに帰って来たら、どっかに行きましょう。ていうか、いつ帰って来るんだよ。

C:
レポートが終わって、腑抜けになってる。ああ、ほんとに終わっちゃったなあ、って。
風邪がいいハンディって言うけど、今回は C の咳で一睡もしてないからね、おれは。アドビルPM でぐっすり寝てる横で、まいにち徹夜ですよ。おれがほとんど寝ながら走ってたようなものだったから、みんなとペースが合ったんだと思う。
それから、上のアメリカ人にもおいしいくないって言われてます。白状して下さい。グリドルズはおいしくなかったって。
ひさしぶり :-)
mixiでのY のレポートが中々進まないのでこっちを覗いてみました。
最後まで楽しませて貰ったよ。道中無事で何よりでした。
C とは10/28-29の新蕎麦会で会う予定やから、その時にでも再度、土産話を聞かせて貰います。
ほなぁ。
ごぶさたしてます。
できたら行きたいというようなことを言っていたと C から聞いていたので、久しぶりに会えるかと期待したんですけどねー。そのうち、ぜひやりましょうね :-)
あぁ〜おわっちゃったなぁ。
全然心配してなかったけど、今考えれば2週間も旅すると普通はもめ事の一つくらいは起きるんかなw。もちろんちょっとした感情の起伏は四人ともあったと思うけど、総じてすごく居心地の良いチームだった。

自分の妻を信頼してるのはもちろんだけど、カルメンもCも”楽しむ”ことにフォーカスしてものすごく良いチームを創っていることがいろんな行動から感じられたので、すごく信頼感をもらえたし楽しめた。

次がいつになるか分からないけど、気長に待っていればまたこんな旅をできる日が来るね。その時はぜひまたよろしく。

ホント、素晴らしい旅とレポートをありがとう。
おっ、ヨネちゃん、やっと終えたのかぁ(微笑)
ほんまにカルメンありがとうって感じやね。
ところで、日本でも最近、MacGriddle始まったんやけど、俺はオーダーする勇気がない(苦笑)
http://www.mcdonalds.co.jp/sales/morning..
 #それにしても、単品情報みると半角カナつかってるよ、このサイト(驚)
それよりも、いつになったらメガマックにありつけるんやろうか?
旅した本人のくせに、いまごろこのレポートを読んでるってのが、ヨネらしすぎるね。
まあ、旅が大成功に終わったのは、やっぱり基本的なところで相手をすごく信用しているし、信頼しているからこそだろうね。ほんと、みんなには何度感謝しても足りない。ありがとうね。

ところで、Yoili さんは復活ののろしが上がっていると近所の友人から聞きましたよ。さすがすぎますね。いつか時間がたっぷり取れるチャンスがあったら、ぜひ一緒に旅しましょうね。きっと、死ぬまでにはチャンスがあるでしょう。

  
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