15 October '2005 - 23:05 | アメリカ生活 車は朝、売りに出すべし
先日注文した minivan の納車予定日も近づいてきたので、そろそろポンコツのアメ車を処分しようということになった。
手に入れるのに何ヶ月もかかったけれど、放置していた一ヶ月ちょっとの間にいろいろと調子も悪くなって問題続出になってしまったし、これ以上むだに修理代を使う気もないし、とっとと売っぱらってしまおうってことで。
どうせそのまま問題なく乗り続けるというのは無理だと思うので、新たに余計な問題を見知らぬ誰かに分け与えるよりも、いっそのこと寄付してしまうというのが人の道というものかも知れない。
が、安く買って修理して乗りたいってやつがいるかもしれないし、部品取り車として安く買いたいやつがいるかもしれないので、とりあえず試しに格安で売ってみることにした。もし売れなかったら寄付すればいいし。
とりあえず写真を撮って、「一応ちゃんと走るけど、ラジエータの水が漏れてるんで修理がいると思うよ。見たい人は携帯まで電話ちょうだい」って craigslist にポストしてみた。22時半過ぎ。
したら、そっこうでメールが飛んできた。どんな修理が必要になりそうなのか?話がしたいから今すぐ電話くれ、だと。
とりあえず、どんな修理が必要かは知らないし、夜遅いんで明朝にでも電話するよ、って返事を書いてたら、違う人からも似たようなメールが。
で、それにも返事を書いてたら、また違う人からもメールが。結局、立て続けに5人からメールがあった。みんな内容は同じ。すごいね、craigslist は。
と思ってたら、携帯が鳴った。23時過ぎてるってのに、マジかよ。しぶしぶ出ると、また違うやつが、今からすぐに見に行きたい、だと。明朝にしてくれって 言ったら、だったらなんで今さっきポストしたんだと言う。べつに、ポストしようと思いついたのがさっきだったからってだけで、それ以上の意味はないんだけ れど。とにかく、今から車を引き取りに行くから頼むって言われて、まあ子供も寝てるし、おれは宵っ張りだし、別にいいっちゃあいいんだけどさあ。
結局、そいつは1時間後くらいにうちまで見に来るという約束になった。車で一時間もかかる場所からわざわざ見に来るらしい。23時過ぎに。ヒマ人すぎる。
って思ってたら、また、携帯が鳴った。まじかよ。今度のやつは、30分で見に来るという。1時間後に見に来る先客がいるというと、早いモノ勝ちだろ?だって。まあ、そうだけど。
うーむ。よく分からんけど業者なんだろうな。電話で話した全員が、ちょっとポルトガル語訛りがあったし、車屋なんだろう。
って思ってたら、また電話。うーむ。二人ほど見に来るし、売れちゃうかも知れないって言うと、もしそいつらが買うって言ったら、そいつらの買値に200ド ル上乗せして買うって言う。なんなんだ。もしかして、おれは、ダイヤの原石を二束三文で売ろうとしているバカなのか?いやいや、そんなわけはない。
まあ、なんでもいい。寄付でもいいと思ってるこんなポンコツが売れるなら、なんだっていいさ。
そうこうしているうちに最初の客が登場。オヤジ、長男、長男カノジョの三人組。なんか、ちょっと怖い。いや、彼ら自身はぜんぜん怖くはないのだけれど、状 況的に怖い。住宅街で24時にヒスパニック系の三人組と個人売買するアジア人って図が、なんか、問題に巻き込まれて次の日の新聞に載ってもおかしくない初 期設定って感じがしないでもないし、微妙な状況判断を誤らないように気をつけるにこしたことはないな、と少し緊張してみる。
ベイエリアに引っ越していらい、こういう、危険な目に合わないように気をつける系の緊張ってのをやってないので、ちょっと懐かしく感じた。それはともかく。
テスト走行したり、ボンネットを開けて、あれこれ調べまくって、ポルトガル語であーだこーだと話をし続ける三人の横で、なんでもいいから、売れちゃうとい いなあって期待して待っていると、オヤジが言った。「ヘッドガスケットを交換しないといけないから、修理代だけでも1000ドル以上はかかるよ。こんなの 治す価値はないし、悪いけど、買えないよ、マイフレンド」
うーん、そうなのか。もし何も分からん相手に売ってしまったらひどい詐欺になってしまい兼ねないじゃん。修理が必要って書いたとはいえ。
そして、最初に電話してきたやつが、到着。オヤジ、長男、長男カノジョというまったく同じ構成。面白すぎる。カノジョは二人ともかなりのセクシー系だったけれど、見るからにバカ丸出し風で典型的ラティーナって感じ。映画みたい。
たぶん、オヤジがやってる車屋で、フラフラしてどうしようもない長男を働かせてて、今、いろいろと教えてるところなんだろう。どこにでも連れて行って、仕 事を実際に手伝わせて体で仕事を覚えさせる。でも、長男は超年頃なので、金曜の夜はエッチなカノジョとずっといちゃいちゃしていたいわけで、時間外の仕事 だし、カノジョも一緒でいいよね?ってことで連れて来たんだろう。たぶん。
で、さっきの連中と同じように、試乗してボンネットをあけてあちこちをくまなく調べて、結局、さっきの連中と同じ結論に達して、長男は言った。
こんなんタダでもいらないよ。ていうか、ガソリン代を返してくれない?
いやあ、ほんとゴメンね。
1時間も走ってきたのに、こんなジャンクだなんて割に合わねーし。
うん、ほんと、ゴメン。
ヘッドガスケットがダメなら最初に言ってくれりゃーいいのにさあ。
ていうか、おれもさっきまで知らなかったし。
くそー。とにかく、ガソリン代くらいはくれない?悪いと思ってるなら。
思ってるけどガソリン代をあげないといけない理由はないし。
1時間も走ってきたんだよ。これから1時間もかけて帰るんだぞ。
おまえが勝手に見に来たんだろ。遠くからわざわざ来てくれなんて言ってないよ。
じゃあさ、10ドルでいいよ、10ドルで。
ははは。ふざけんなよ。なんどもゴメンって言ってるだろ、マイフレンド。
craigslist にポストしたとたんに入れグイでレスポンスがありまくるもんだから、これは簡単に売れるなあと思ったんだけれど、どうやら甘かったらしい。このまま、同じ ことを繰り返してても仕方ないので、ポストした内容を修正することにした。「外装も内装も問題ないし、ちゃんと走るけれど、ヘッドガスケットが飛んでま す。治したい人だけ携帯に電話を」
修正して30分ほど経ったころ、携帯が鳴った。1時過ぎてるのに。
車売れた?
まだ。
明日、何時に起きる?
9時くらいかな。
じゃ9時に電話する。
ヘッドガスケット飛んでるのは知ってるよね?
分かってるよ。
エンジンを修理しないといけないって言ってるのに、それでもまだ欲しいという人がいるのが凄いなあ。何するつもりなんだろう。
それにしても、夜に「売ります」に出してはいけないなあとつくづく思った。
MSY - 16 October '2005 - 07:23
ひろしま () - 16 October '2005 - 11:29