08 November '2008 - 22:18 | 時事 2008年の大統領選の雑感
次期アメリカ大統領に選出されたのは、残念ながら Barack Obama だった。
残念ながらなんていうと、民主党を応援していた人はカチンと来るかも知れないし、共和党を応援していた人はうなずくかもしれないが、ぼくが応援していたのは Ron Paul だったし、Ron Paul でないならば民主党の誰でもいいと思っていた。また、民主党なら、Hillary Clinton の方が面白そうだと思っていた。
Hillary Clinton が負けたのは、民主党のサポーターが積極的に Barack Obama を選んだ結果だと思うし、Brack Obama は大統領に相応しい人物だと思うので、そこにはまったく文句はない。
また、John McCain はともかく、Sarah Palin が副大統領になったらどうしようかと思っていたし、Tina Fey as Sarah Palin があまりに可愛すぎるので、みんな間違って Palin を応援してしまったらどうしようかとちょっと不安だったけれど、アメリカ人もそこまで馬鹿ではなかったらしいのでよかった。
しかし、多くのひとが Ron Paul を知らずに終わったことは、とても残念だった。確かにある意味、過激と言えば過激かも知れないけれど、アメリカが原点に立ち返るためには傾聴に値することをたくさん言っていたと思う。討論会で、彼を論破した人は一人もいなかったし、逆にほかの候補者はみな彼に論破されていた。シンプルだけれど筋金入りだった。
彼が負けた理由はいくつかあるのだろうけれど、過激な意見そのものよりも、完全にマスコミに抹殺されたのが大きいと思う。電話調査の話をしているところで、Ron Paul の支持率が一番になってもそのことだけにはまったく触れなかったり、また、Ron Paul についてだけまったく言及しないことを視聴者から指摘されると調査の仕方が偏っていたに違いないだのネットで祭りになってるだけだの言い訳して黙殺し続けた。
YouTube で Ron Paul を検索するとたくさん興味深い映像が出てくるが、それらを観ていると本当にこの国のメディアはどうなっているのかと思う。911 の後やイラク侵略の時もとんでもないと思ったけれど、今年の Ron Paul 黙殺は、ほんとうに、ほんとうに失望した。
ただ、既存の大手メディアがまったく Ron Paul について報じないという態度をいくら貫き通しても、ネットの力はそれなりに大きく、最初のうちは結構善戦したし、もしかしてという夢も見れた気がする。願わくば、本当に草の根活動だけで最後の最後まで大統領候補者候補として残れたら面白かったのだけれど。
そういうわけで、ぼくにとってはとても残念な 2008年大統領選だったわけだけれど、新大統領に選出された Barack Obama には期待したい。
初の黒人大統領だとか、そういうことはどっちでもいいけれど、久しぶりに都会の人が大統領になるというのはとてもいいことだと思う。アメリカは田舎者の国だけれど、素朴を通り越して古すぎる価値観を押し付けられ続けるのはたまらない。やはり、たまには現代の都会の人の意見を聞いた方がいいと思う。どの地区だろうと、シカゴ出身の大統領だなんて、素晴らしいと思う。
なお、Bush もしくは共和党でなくなるというそれだけで溜飲を下げているように見受けられる人をみると、ちょっと不安になる。Bush がやることをときどきちょっとはおかしいとは認めつつも、そんなに言うほどおかしくはないなどと常に擁護するような発言しかして来なかった共和党支持者と同じに見えるのだ。贔屓のひきたおしは、リベラルを自認するなら気をつけた方がいいと思う。田舎者の保守派と同じような態度は恥ずかしい。誰が大統領だろうと、是々非々が基本だ。
Barack Obama がこれからする改革は、無条件に受け入れられることばかりではないだろうし、大統領になる前に言っていたことと違うことをしないように、気をつけてみていないといけない。2000年の大統領選の時には Bush は、世界中に派遣されている軍隊を連れて帰って来ると言っていたし、戦争はしないんだと言っていたけれど、911 の後、その発言はすべて反故にされた。
本当の戦い、改革は、これからだ。まだ、始まってもいない。
Ron Paulはたしか税金を最低限に抑えて政府の機能を最小限にすると提唱していた方ですよね。僕はサンディエゴに住んでますが、たまに近所でもRon Paulのステッカーをつけた車を見かけます。ネットはそれなりにチェックしていたはずですが、僕は彼のことはほとんど知らないです。彼のどのあたりが魅力なんですか?
まさひろ - 09 November '2008 - 10:55
ぼくが彼を気に入っている理由はいろいろあるのですが、まず彼が Libertarian であるということが大きな理由の一つなのは間違いないです。加州に住んでいるくらいですし、ぼくは骨の髄まで Libertarian というわけでもないのですが、かなり、そういう考えに近いので :)
それから、911 の本当の原因はアメリカそのものの海外政策にあるのであって、彼らと我々の考え方とか文化の違いとかいうものではないと言っているところもいいです。彼らがおかしいのではなく、自分らの都合のいいように他国を干渉し続けて来た結果が 911 で、間違っているのはアメリカの方だ、と。
また、無意味に占領している軍隊をすぐに撤退するべきだと言っているのも好きです。たしかに、継続性という意味ではいまさら無責任な態度と言えるかも知れませんが、長期的にはそちらの方がいいだろうとぼくは思っています。支援する方法はほかにもあるし、暴力では結局なにも解決しないと思っているので。
もちろん、たとえば中絶できるべきではないとか、個々の政策に関してはもちろん彼に賛同できないこともたくさんあります。でも、そういうことは基本的に州の問題であって、いちいち連邦の問題にするべきではないと言っていることは賛同できます。
ま、簡単にいうと、こういう感じでしょうか。面白いと思うので、ぜひ、YouTube で彼の意見を聴いてみてください。
ひろしま - 09 November '2008 - 11:49
ただロン・ポールが勝てなかったのは、むしろ彼が正しいことを言ってしまうことによるのではないでしょうか。911の原因がアメリカ自身にあるというのはその通りだと思いますが、それは愛国心という不可思議な概念によってのみ結束が成り立っているこの連邦国家の基礎をゆるがすもので、残念ながら多くの人は自家中毒を敬遠してその真意を理解しようともしないでしょう。あと、個人的には税制、福祉などの面で賛同できないポイントがいくつかあります。なんていうか、ちょっと理想主義的というか。
その点、オバマに通底するプラグマティズムはすがすがしい。戦争と経済の密な結びつき、すなわち戦争で必ず勝てるアメリカは戦争によって経済上のナンバーワン・ステイタスを固守できる立場にあるし、そうでなくなれば財政破綻しているアメリカはますます活力を失い古代ローマのように凋落するという事情を飲み込んだ上でリベラルにふるまい、さまざまにうずまく市民感情をうまく「利用」して現実を少しずつ動かしていく力がある人だと思いました。あの柔軟性、彼が黒人であることよりも都会育ちの若い人ということのほうが大きい気がします。まぁでもおっしゃるとおり、彼が本物(になる)かどうかはほんとにこれからですね。個人的には財政、経済などの面で賛同できないポイントがいくつかありますが。
まぁProp 8が通ってしまったことをみても、時代はまだぜんぜん教育が足りない=リベラルなんかではないですよ。ましてやリバタリアンなんて、もっとも教養と生活力のある人たちだけに理解可能な、贅沢な主義信条なのかも知れないですね。
kenn (ウェブサイト) - 09 November '2008 - 12:59
それにしても、Prop 8 は本当に残念でした。加州ですらダメだったという現実は、しっかりと踏まえておく必要があるな、と。理想を掲げることをやめるつもりはないけれど、現実の直視も同じくらい大事なことですし。
ひろしま - 09 November '2008 - 13:12
あっ、それとProp 8の件、加州では二度目ですよね、負けたの。 いい加減 Constitutional Republicの意味わかんないのかね、輩は? まだ加州憲法は多数決何だけど... で、さらに面白いのが、今回黒人がオバマ投票にたくさん行ったと言うことでProp 8 が負けた要因が大きいそうですね。 残念。 またLibertarian の立場からすると、こんな法令いらないじゃんのはずじゃ? そんなことLegislate してる場合じゃないのでは?
ちなみにおれもかなりハードコアなConstructionistなんで、今回の共和党の候補には落胆しまいたがね。 最悪でした・・・
あっ、そうそう、加州もかなり大変そうですね。 シュワチャンが税金あげるっていってますね。 ほんとにアメリカは大丈夫かな? やばくなったら、そもそも社会主義の日本に帰ってきた方がいいかもですねw ん? 封建主義かな?
go55man - 09 November '2008 - 18:30
税金を上げることはいつでも基本的に反対だし、ほとんどのことには政府が介入しないのが一番いいと思っているけれど、でも、無政府がいいとまでは思ってないし、昨今の富の一極集中具合の酷さと無責任な世界経済破壊ゲームの結果をみるにつけ、なんでも市場に委ねるだけでは限界があるし、それは自由というよりも野蛮と言った方が適切なのだろうなと思っています。ここまで行ってしまっては、理想と現実は違うのだと、ある程度は保守派の人たちも思い知る必要があります。
なお、Libertarian の立場からは、とうぜん Prop 8 は必要ないです。だから、可決したことを残念だと言っているのです。
ひろしま - 09 November '2008 - 19:22
Shin - 10 November '2008 - 02:14
ひろしま - 10 November '2008 - 20:28