ぼんやりと考えている人

ひろしまなおき (廣島直己)
名前: ひろしまなおき (廣島直己)
住処: シリコンバレー
職業: しがないプログラマ
家族: 愛妻一人、息子一人、娘一人
道具: ハーレー二台、ギター三本
電紙: n at h7a.org

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以前にぼんやりと考えたこと

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06 September '2006 - 21:33 | 単車と旅 Sturgis 2006 (その5)

旅の五日目、八月九日。水曜日。

七時半、起床。

やはり、ベッドは寝心地がいい。テントの設営もなければ片付けもない。やはりモーテルは最高だ。発明したモーテル氏に感謝。

カー テンを開けて外を見ると、空は真っ白でちょっと暗い。ウェザーチャンネルで天気を確認すると、辺り一帯が "Scattered Thunderstorm" らしい。日本語でなんていうのかは知らないが、「ところにより雷雨」って意味。つまり、やられたらやられるし、やられなければやられない、と。うーむ。あ んまり役に立たない予報だが、とにかくカッパを着てけってことか。

空気を感じるために外に出てみると、太陽が出ていないのでけっこう寒い。最初からカッパを着ていくことに決定。カッパは防寒にも有用なのだ。Tシャツに革ジャンとカッパで、十分すぎるほど暖かい。

昨晩、洗って干しておいたパンツをたたんでドライバッグにしまう。荷物をバイクに積み、やおら出発。八時。

町を出る前にとりあえず朝飯でも食べようかと思ってスタンドを探すが見当たらない。たぶん、この町にある全てのスタンドは反対方向にあるのだろう。朝飯のためにわざわざ戻るのも面倒だし、起きたばかりでそんなにおなかが空いてるわけでもないし、このまま先に進むことにする。

US-160 を北上。

いったん走り始めると、徐々に気分が盛り上がってくる。ラジオをつけ、スピーカーからカントリーが流れ出すと、テンションはさらに上がっていく。ふだんは滅多に聴かないカントリーだけれど、アメリカの田舎道にはよく合う。

九時過ぎ、South Fork に到着。ここで朝飯を食べようかとも思ったのだけれど、ガスはまだあるし、もうちょっと走りたい感じ。そのまま先へと進む。

Del Norte を無言でやり過ごし、九時四十五分、Monte Vista に到着。うーん、ガスはまだあるし、もうちょっと走ろう。

「ねえ、左前方に見えるあの砂場みたいなのって、Great Sand Dunes 国立公園かな?」「でも、まだけっこう距離はあるよ。50キロくらい。」「だよねえ。たぶん、違うよねえ。」

いくら大きくても、50キロも離れている砂丘が見えるはずがない。きっと関係ない。では、あの 砂山みたいに見えるものは何なのだろうか。さっきから、ずっと左手前方に見えていて、近づいているはずだけれど、大きさがまったく変わらない。

十時、Alamosa でガスの補給。やはり、二時間くらい走ると走った気になる。気分がいい。いい加減おなかも空いてきたし、ついでに朝食にする。ホットドッグにサンドイッチにコーヒー。

地図で確認すると、目的の砂丘までは 30キロくらい。ふーむ。やっぱり、さっきから見えていたあの砂場みたいなやつが、それなんだろうか…

十一時、遅い朝食を終えて出発。

先に進めば進むほど、さっきまで左手前方にあった砂場が左の方に移動していく。うーむ。あれだ、間違いない。方角的に、それしかない。それにしても 50キロも先から見えていた砂場が目的の砂丘だったとは…

十一時半、分岐点に到着。あの砂場が真左に見える。もうどうみても砂場じゃない。砂山だ。CO-150 を左折。

前方の砂山は走れば走るほど大きくなっていく。しかし、どこまで大きくなっていくのかまるで際限がないように見える。際限なく大きくなっていくので、近づいている実感もあまり湧かない。

十一時四十分、Great Sand Dunes National Park に到着。

Great Sand Dunes National Park, Colorado


一時間も前から見えていたあの砂場は、どんどん成長し、とうとう鳥取砂丘の十倍の大きさとなって目の前に現れた。な、なんだ、これは。

ビジターセンターをぶらぶらして、外のテラスで巨大な砂丘をぼんやりと眺める。

備え付けの双眼鏡を覗いてみると、砂丘を登っている人が確認できた。肉眼で直接みてみると、ただの点。とても人には見えない。言われなければ気がつかないほど小さい。

つまり、目の前の砂丘の山が巨大すぎて実感できないだけで、その砂丘はいまだ凄く遠くにあるということになる。うーむ。

歩いていくのは遠すぎるっぽいので、バイクで一番近くまでいけるポイントをレンジャーに訊く。

ビジターセンターを後にし、奥の方に走っていく。レンジャーに教えてもらったポイントに到着。砂丘のすぐ傍までいけた。

やわらかい砂の上をブーツで歩くのは疲れるけれど、がんばって歩いてみることにした。せっかくなので、少しくらい登ってみようかと思ったのだ。

だが、歩いても歩いても目の前の斜面にはたどり着けない。振り返ってみると粒のように小さくなった C が見え、どのくらい歩いてきたかがなんとなく分かる。C は風邪っぽいのか、着いて来ようとしない。おれだけ登って、あとで自慢してやろう。

さらに歩く。そしてさらに歩く。黙って歩き続ける。

が、やはり、斜面にはたどり着かない。 こんなに歩いても、まだぜんぜん足りないということか。ここまで来て引き返したのでは、一歩も歩かなかったに等しい。ついてこなかった C が勝ったも同然だ。引き返すわけにはいかない。

とはいえ、冷静に計算して見ると、どうやら斜面まで行って戻ってくるだけで、とても三十分じゃきかなそうな勢いだ。砂山の頂上まで登ってる人たちが双眼鏡で確認できるが、きっと半日くらいはかかると思われる。うーむ。悔しいが、素直に諦めて引き返すことにするか。

結局、目の前の砂山が、どのくらい大きいのかあまり実感できなかった。ただ、実感することが難しいほど大きいということだけは分かった。いつか頂上まで登ってみたい。

さて、課題を残しつつも砂丘を堪能したところで次に向かおう。

一時、CO-150 を少し戻り、CO-17 の方向に抜ける。

地図で見ていて分かっていたことだが、この CO-17 は本当に定規のようにまっすぐで笑った。道がまっすぐなだけでなく、まっ平らなので、ほんとうにずっと先までよく見える。

かなり遠くと思しき鉄塔が見えたので、そこまでどのくらいあるのか試しに計ってみたら、15km くらいあった。そんな先までまっ平らでまっすぐな道。幅が足りるかどうかは分からないけれど、こんな道なら飛行機の緊急着陸も離陸も、楽勝だろう。

一時十分、完全にまっすぐな道を走りきり、CO-17 にぶつかる。右折して、北上。

一時半、US-285 に合流。そのまま北上。ガスが持つ限り先に進む。

二時半、Buena Vista の分岐点に到着。ガスの補給。ここから US-24 で北上するルートと US-285 で北上するルートの二つがある。どっちにするか相談。が、その前に、昼飯。時間は遅いが体はカリフォルニア時間の一時半なので、遅すぎということ感じはまったくない。

スタンドのジャンクフードにもそろそろ飽きてきたので、となりのハンバーガー屋に入ってみる。店の中に入ると、いかにも田舎のレストランといった風情。壁には銃や鹿の頭が汚く飾ってある。メニューを見ると、店の名前は Gunsmoke と書いてある。笑う。

アボガドとか入ってるハンバーガーが食べたかったけれど、そんな贅沢なものは当然ない。こういう場合は店の名前がついてるものを頼むことにしてるので Gunsmoke Burger とアイスティを昼飯にする。ただのハンバーガー。だけど、かなりウマイ。たぶん、もう何が来てもウマイと思うようになってる。そう思えないとしたら、きっと旅が辛すぎるってことなんだろうと思う。

それにしても、こんな田舎でも甘くないアイスティが当たり前のように飲めるなんて、いい時代になったものだ。以前は、甘いかどうか必ず訊いてからじゃないとアイスティは頼めなかったのに。

地図を見ながらこれからのルートを相談する。

インターステートを使わずにロッキーマウンテンまで行くには US-24 ではなく US-285 を北上するしかない。決定。次善の策があるならば、インターステートは 使わないというのが定石。

その先は、Fairplay から CO-9 を使って Kremmling まで抜けるか、Grant まで US-285 で抜けて、Georgetown 経由で US-40 に抜けるか、二つにひとつ。

後者の方が距離がだいぶ短い上、Scenic Byways の距離が長い。決定。ここで重大な見落としがあったのだが、後日、見落としていたことを Y に指摘されるまで気づかなかった。

さて、ルートが決まれば、あとは行くだけだ。三時半、Buena Vista を出発。US-285 を北上。

四時、Fairplay を抜け、さらに北上。60MPH (96km/h) くらいで山道を華麗に抜けていく。コロラドの山道は、気持ちいい。

四時半、Grant に到着、ここから Geneva Road に乗り換え。最近、工事されたばかりで路面の綺麗な林道だ。いい感じ。

と思ったのもつかの間、二分も走ったところでその綺麗な道はダート(砂利道)に変身する。

むむぅ。できればダートは走りたくないけれど、仕方ない。どうせすぐに終わるだろう、ちょっとの辛抱だ。

道路の右手に Georgetown まで 24マイル (38.6km) という看板が見えた。ふむ。まあ、そんなもんだろう。24マイルなら三十分はかからない。

甘かった。なんと、そこから Georgetown までの道のりは、全てダートだった。想定もしてなかったが、40km ちかくも砂利道を走るはめになったのだ。三十分どころか一時間もかかったのだった。

それにしても、このダートはけっこう深い砂利もあってなかなか怖かった。Y たちがいなくて良かった。二人乗りはちょっと厳しい。まあ、もし二人が一緒にいたら、すぐに引き返していただろうけれど。

五時、峠の頂上付近で工事があり、片側交互通行をやっていて停められる。GPS を確認すると標高は 11500フィート (3505m)、すぐ向こうには 14000フィート (4267m) を越える山がそびえている。寒いはずだ。上下のカッパは泥だらけになっているけれど、着てなかったら凍え死んでいる。

ちなみに、道自体は全編ダートでけっこう厳しかったが、そのコースと風景は素晴らしかった。工事が完了し、全てが舗装された暁には、かならず scenic byway と定義されるはずだ。いつか、舗装された後に、もう一度走ってみたと思う。

工事で足止めを食らっている間、とくにすることもないので STOP の看板を持つおばちゃんに、訊いてみる。

「今日、何台ここをバイクが通った?」

「数台かな」

「ええっ、数台も通ったの?」

「あ、うん、多くはなかったけど、何台か通ったよ」

アメリカ人はバカすぎる。 こんなダートを何を好き好んで走ったのだろうか。まあ、おれたちとまったく同じ理由なんだろうけれど…

ほどなく先導車が反対側から登場。STOP のサインが SLOW に変わり、引き返していく先導車についていく。

1マイル (1.6km) ほど徐行しながら走らされて、やっとの思いで反対側に到着。当然ながら、そこには待っている車が十台くらい並んでいたのだが、よく見ると、その中にバイクも一台あった。バカだ。手を上げて挨拶する。

するとそいつだけではなく、もう一人、後ろにいる人が手をあげて挨拶した。ん?そいつの後ろには奥さんと思 しき女性が座っていた。うーわ。超バカだ。この先 10マイル以上もダートを走らないといけないのに、二人乗りって、何を考えてるんだ。バカすぎるにもほどがあるだろ。

五時半、盆地にひっそりと佇む町、Gerogetown が見えた。コロラドらしい風景。

Georgetown, Colorado

少し休憩し、Georgetown を抜け、US-40 方面に向かう。が、道をよく確かめずに走っていたら、インターステートに乗らされてしまった。うーむ。どれだけ避けても、結局、乗らされるのかよ…

I-70 を 4マイル (6.4km) 走り、US-40 に乗り換え。六時。

ロッキーマウンテンまで行ってしまっては泊まるところが見つからなくなってしまうので、ここから Granby までにある小さな町のどこかでモーテルを探すことにする。

US-40 を北上すると、道はどんどん険しく峠道になっていく。あたりはスキー場が多く、見当たるのは本気っぽいロッジばかりで、ダメ系のモーテルがなかなか見つからない。

彼女と二人で来ているのならいざ知らず、四十男の C と二人でおしゃれなロッジに泊まって一泊 200ドルとか言われたら目も当てられない。とにかく先に進む。

六時半、Winter Park に到着。ちょっとした町。スキー客とロッキーマウンテンに行く人たちが便利に使える町と言った感じ。町の真ん中を南北に突っ切る US-40 の両側に、ホテルやレストランやスキー用品店やお土産屋などがひしめく。

さくっとモーテルを見つけてチェックイン。Best Value Inn Sundowner $71.43。高いけれど、ここが高いのはまあ仕方ない。

荷物を降ろし、ブーツを脱ぎ、ベッドに寝転がり、思い切りくつろぐ。あー、疲れたー。

バイクは乗っている間も楽しいが、一日走り終えた後の開放感もたまらない。やはり、バイクを運転するのは神経も体力もそうとうに消耗するのだ。

三十分ほどのんびりしたら、サンダルをはいて、さっそく町に散策にでる。晩飯を探しに行こう。

町を端から端まで歩き、だいたい何があるかは分かった。要するに、大したものはない。

うーん、何を食べようか。C は何でもいいというが、イタリアンレストランに入って、よく分からないパスタに 20ドルとか払うのはヨシとはしないだろう。どうしようかな。

だんだんおなかが空いてきて、面倒になってくる。日も落ち、あたりは徐々に薄暗くなり始めている。こうなってくると、もう何でもよくなる。てきとうに買って帰ってモーテルで食べることにしようか。

うーん、だったら、チャイニーズのテイクアウトの方がまだいい。何百倍もいい。

町の中心部に見つけた New Hong Kong という名の中華料理屋に向かうことにする。昨日も中華だったけど、まあ、いい。中国人は毎日中華を食ってるんだ。こんな田舎で贅沢を言っちゃいけない。

道すがら、C は、あの店はテイクアウトってできるのかなあとちょっと心配する。が、アメリカのレストランは、超高級レストランでない限りほとんどどんなレストランでもテイクアウトできるのがいいところ。中華でテイクアウトできない店はアメリカには一件もない。借りにあったとしても、マンハッタンに一件だけだ。知らないけれど、勢いとしてはそんな感じだ。

何が食べたいか C に訊くと、何でもいいと言う。まあ、そうだろうと思う。はっきり言って、おれも何でもいい。

考えるのも面倒くさいので、Shrimp with Black Bean Sause とチャーハン。在米日本人なら誰でも知ってるであろう定番メニュー。全米の全ての中華料理屋で食べられる。メニューにあろうがなかろうが。

せっかくなのでビールも買っていくことにする。C は風邪薬を飲むからいらないという。ふーむ。ひとりだけ飲むのは申し訳ないけれど、飲まないのも自分に申し訳ないので、ひとりで飲むことにする。

チンタオ。するとその場で栓を抜いてくれようとするので、テイクアウトするから栓は抜かないようにお願い。「申し訳ないんですが、ここで飲んでもらえないと売れないんです。」なるほど、そうなのかも知れない。

仕方ないので、カウンターに座って一本だけ飲んでいくことにする。気を効かした店員が C に水を持ってくる。

ほどなく、注文の飯ができ上がり、ビールを飲み干し、モーテルに戻る。帰り道のスタンドでビールを追加。

飯を食いながら、とりとめなく駄弁る。毎日朝から晩まで一緒に行動していて、話すことはもう特にないはずなのだが、何故か話は尽きない。

ベッドに寝そべり、見てもいないテレビをぼんやりと眺め、今日の一日を振り返る。

今日は、朝から晩まで一日中カッパを着て走ったけれど、結局、雨は一滴も降らなかったなあ。明日の天気をウェザーチャンネルで確認してみると、明日の天気は "Scattered Thunderstorm" らしい。明日もか。

明日も運良く降らないといいんだけれど、どうなるかなあ。

  • 総合走行距離: 1896.15 マイル (3051.55 km)
  • 今日の走行距離: 355.56 マイル (572.21 km)
  • 最高速度: 89.5 マイル/時 (144.0 km/h)
  • 移動時間: 6時間43分
  • 移動平均速度: 52.9 マイル/時 (85.1 km/h)
  • 最低最高高度: 6886〜11518 フィート (2099〜3511 m)
  • $3.239 x 3.265G = $10.58 — 10:05:54 LOAF N JUG — Alamosa, CO
  • $3.399 x 3.396G = $11.54 14:26:00 GUNSMOKE TRUCKSTOP — 12916 Hwy 285, Buena vista, CO

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相変わらずおとこっぽいねぇ。
なしてこんな道をただ走って幸せなんかわたしにとっては意味不明なんだけどなぁ。
わたしは1時間くらいでギブアップや。
まあ、そうなんだろうけれど、こっちとしては、なんで分からんのかがさっぱり分からんのだよ。
毎日一番にRSSチェックして「お、今日も更新してる!」って楽しく読んでるよー。
昨日はオイスターフェスティバルの初日で、夜行ってきたんだけどハーレーのブースがあって大盛況だった。
連れが「ハーレーなんて、ホント憧れですよー」といいながら、真剣に値段やらなんやらチェックしていたけど(虫にあらず)、その気持ちはよく分かるなあ。毎日読んでいるとバイクが欲しくなって危険なblogだな。
極一部だけに大好評のツーレポなのですが、楽しんで頂けて幸せです。つか、寝不足すぎて、困ってます、毎日。
それはそうとオイスターフェスティバル、超裏山。これから紅葉もあるし、そっちはいいですなあ。

  
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酢ハムがいったいどんなハムなのかはともかく…
 

 

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